私の議会報告

令和4年 第2回定例会 6月28日 一般質問

1)職員研修について
2)脱炭素社会の実現に向けた取組みについて


無所属の近藤さえ子です。よろしくお願いいたします。
酒井区長におかれましては、2期目の区長への就任おめでとうございます。
また、今回当選された同僚議員は、前職で犯罪被害者支援にも関わっていらっしゃったと伺っております。どうぞよろしくお願いいたします。  

1)職員研修について伺います。

 4年前、酒井区長が新区長に就任された6月の本会議で、私は、犯罪被害者等基本条例の制定と中野区の犯罪被害者等相談支援窓口――以下、相談支援窓口と言います――の充実について質問しました。その後、酒井区長は、条例の制定と相談支援窓口のさらなる充実を果たしてくださいました。条例の制定により、犯罪被害者支援において中野区は名実ともに明石市、横浜市と肩を並べる、被害者支援先進区となりました。大変感謝しております。
それでは、今後、被害者支援の先進区として何ができるか、何をやらなくてはならないかを考えますと、次のような課題が出てきます。
まず、相談支援窓口を担当する福祉推進の部署に常勤の専門職を配置し、事業の継続を担保していくことです。私は、昨年第4回定例会でも質問しましたが、区長は「常勤の保健師の配置と育成については、保健師を必要とする業務の全体のバランスを勘案して検討していきたい」というお答えにとどまりました。
相談支援窓口の業務は、国や都を含む他自治体との連携、医療機関、司法機関、警察などとの連携の積み重ねであり、被害者支援に精通した職員がいないと成り立ちません。相談支援窓口設置から現在に至るまで、担当部署の職員たちは先輩と言うべき前任者がいない中で、ほぼ独学で勉強し、多大な努力をされ、中野区が被害者支援先進区となるまで、この相談支援窓口を育ててきました。
被害者支援を学ぶことは、加害者の存在を学ぶことでもあり、なぜその人が加害者になったかを知ることでもあります。実際の司法の仕組み、弁護士、裁判所、保護観察所、警察、被害者支援の専門家等、多くの関係機関とのつながりを築くことも欠かせません。職員が役所から飛び出して、多くの関係機関とつながり、オンラインを活用した働き方をする、まさに区長がこれから目指そうとする職員の働き方が現在既にできている部署なのです。
昨年度相談支援窓口が行った職員研修は、オーストラリア在住の方がオンラインで参加し、講師として話されました。出席された福祉関係の部署の職員からは「今までで一番ためになる研修だった」という声もありました。私は、職員研修を担当する職員課、職員のやる気アップに取り組むワンナップチャレンジの担当課長、区民や職員にITの活用を推進している情報システム課にも参加していただき、参考にすべき研修であり、せっかくの機会が少し残念だったと思いました。
被害者の置かれた状況は一人ひとり違いますので、被害者支援の担当職員は、生活援護課、障害福祉課、住宅課、教育委員会事務局等、区役所内のあらゆるサポート体制を把握し、スムーズな支援に結びつける力が求められます。
多摩市では、既に2009年から犯罪被害者支援の条例をつくり、毎年職員、教職員への悉皆研修を行うことで、犯罪被害者への理解、窓口の意義を伝えてきました。教職員を対象にしては、人を殺めてはならない、暴力はいけないという人権教育の原点を子どもたちとじかに向き合う教師たちに伝えています。市職員対象には、犯罪被害者支援は、支援内容がそれぞれ違う被害者に対して、市が持つ資源、市以外の資源を組み合わせて支援していく力が求められることを説明し、グループ研修などを積み重ねることで、想像力を働かせ、目の前の困っている市民に対してできることは何かを考える力、コーディネートする力をつけさせるために、全ての職員対象の悉皆研修を行っているのです。多摩市でも、新型コロナや様々な課題に対応するために、他の研修の数が増えました。それでも毎年行っていた悉皆研修を隔年にする、教職員と市職員の研修を一緒に行うなど工夫して、多くの職員たちに犯罪被害者支援の研修を受けさせています。
犯罪被害者支援という様々な社会の課題を包摂した主題を活用し、これまでの研修の内容を拡充した上で、新人研修、昇任時管理職向け長期的なキャリア形成における研修プログラムの中に、犯罪被害者支援の研修を位置付けてみてはいかがでしょうか。
相談支援窓口を継続させることはもとより、幅広い支援ができる職員を育成する面からも、相談支援窓口の職員研修を悉皆研修として位置付けるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
また、区は、昨年度、中野区地域包括ケア総合アクションプランを策定し、誰一人取り残さない地域包括ケアをスタートしています。この重要な役割を果たすのは、課題を抱える区民を発見し、適正な支援に結びつけるアウトリーチチームの専門職たちです。この専門職たちは、地域包括ケア体制の要と言ってもいいでしょう。このアウトリーチチームに対して区民が近隣の課題を相談しても、複雑、多様な困難を抱えた区民への対処が分からず、対応できないのでは話になりません。職員の人材育成は、地域包括ケア体制を築く上での最重要課題です。現在、既に区民の課題解決に向けての動き方を知り、その方法が全国的に注目されている相談窓口の部署があるのですから、そこから医療職、福祉職、アウトリーチチームは学ぶべきだと思います。
全国的に注目されている相談支援窓口の活動を区の強み、絶好の機会と捉え、全国の警察や自治体、支援団体、教育機関等と連携し、講演活動等を実施していくことは、犯罪被害者支援の必要性の認知向上及びこの取組を通じた中野区のPRにもつながるのではないかと考えます。そのためにも、この事業について深く精通する職員の育成が必要であると考えますが、いかがでしょうか。

2)脱炭素社会の実現に向けた取組みについて

 次に、脱炭素社会の実現に向けた取組について伺います。
今回の区長選で、区長はコンポストの利用促進についても区民に向けて発言されていました。酒井区長が2期目に入り、私はこの6月の議会で、中野区の環境団体の取組等を区報で紹介し、区民が気軽に使えるコンポストの紹介などを提案しようと思っていました。その矢先の区報、6月5日号に乗ったタイトルは「その一工夫でゼロカーボン」です。そして、「日常のちょっとした行動の積み重ねが、ゼロカーボンの実現のカギ。次の例を参考に、できることから続けていきましょう」とあり、生ごみ処理機コンポスト堆肥化容器のあっせんという欄がありました。
先を越されたと思い、楽しみにバーコードをかざしてみますと、「2020年度生ごみ処理機あっせん一覧」が紹介されていました。紹介されていた生ごみ処理機は、どちらも電動式、区のあっせん価格で2万円から4万円以上もするものです。節電が叫ばれている昨今、電動式を普及させるのは、全くゼロカーボンの取組にはならず、個人のごみの処理に4万円支出することが、日常のちょっとした一工夫だとでも言うのでしょうか。また、これらの処理機により、確かにごみは小さくなりますが、ダンボールコンポストのように堆肥として再利用できるわけではなく、結局ごみとして捨てることになります。一方の「手動なので電気代はかかりません」と紹介されているコンポストも、2万円以上です。区民にとって、ごみの処理に2万円出すのは、ちょっとした気軽な行動ではありません。
区民に対して「一工夫して脱炭素を進めましょう」と言いながら、なぜ電動と高価な生ごみ処理機やコンポストをあっせんするのでしょうか。
これらのコンポストは、区が長年あっせんしてきたものの、利用実績もほとんど増えなかった製品です。これらはゼロカーボン推進にも逆行していますし、何より区民にとっては敷居が高過ぎます。どのようにお考えなのでしょうか。
私は、10年以上前から、区民が気軽にできる家庭ごみの削減方法を紹介し、自らごみをダンボールコンポストで堆肥化し、環境団体の区民の皆さんと、公園の花壇作りや小学校のプランター作りなどを行ってきました。この活動に参加された区民の多くは、「楽しかった。自分でも続けたい」と話されます。
区民団体が長年取り組んできたこのダンボールコンポストは、初期投資が2,000円にもならない安価で気軽に始められて、できた堆肥と新機材を交換することもできるのです。ダンボールは家にあるものでも、資源ごみから活用しても大丈夫ですので、ごみが循環していく。まさに「その一工夫でゼロカーボン」の取組です。
また、新型コロナウイルス感染症の影響で、家庭時間が増えた若い人たちの間で人気があるバッグ型をしたLFC(ローカルフードサイクリング)等の微生物、自然の力で生ごみを分解した堆肥に戻すコンポストもマンション等でお住まいの方や独り暮らしの方に好評です。
本気でゼロカーボンとごみの処理を考えるのであれば、高額なコンポストをあっせんするのではなく、多くの区民が簡単に利用できる地球に優しいコンポストを区報で紹介する、出前講座で紹介する、一部の地域で試験的に取り組むなどして、そこから区民とともに、一工夫してゼロカーボンを始めてはいかがでしょうか。区の見解をお聞かせください。
これで私の全ての質問を終わります。ありがとうございました。

○区長(酒井直人) 近藤議員の御質問にお答えいたします。
まず初めに、犯罪被害者支援研修についての質問でございます。
区では職員研修につきまして、毎年度、中野区人材育成基本方針に基づいて研修実施計画を策定をし、職層や実務等、体系的なプログラムの中で実施をしておりまして、常に改善を行っているところであります。
犯罪被害者支援に関わる研修については、健康福祉部が主催で毎年度実施をしておりますが、職員にとって様々に気づきのある研修であると認識をしております。犯罪被害者支援研修と他の研修との関係、実施する内容や時期など、体系的な研修プログラムの中でどのように効果を高められるか、他の分野の個別研修も含めて改善の題材の一つとして検討してまいりたいと考えます。
次に、犯罪被害者支援に係る専門職員の育成についてでございます。犯罪被害者支援を含め、一定の経験が求められる様々な分野の知識、技能をどのように組織として継承していくのか、組織運営や人材育成も課題として認識をしているところであります。今後導入する人材マネジメントシステムを活用し、犯罪被害者支援に係る職務にかかわらず、各職務が求める職員の能力や経験、専門知識といった業務分析をした上で、職員の育成と職務のマッチングができるような仕組みを構築してまいります。

 次に、脱炭素社会の実現に向けた取組についてでございます。
生ごみ処理機についてでございます。生ごみ処理機については、電気を使用する製品のほか、環境に配慮して手動製品もあっせんをしているところであります。ごみ処理の過程では、乾いたごみよりも濡れたごみを処理するほうが多くのCO?を排出するということから、生ごみ処理機の環境効果は高いと考えておりまして、電気を使用する製品についてもあっせんをしているところであります。今後は、各製品の特徴や、製品を使用することによる環境負荷低減の効果について、ホームページで広報し、区民の環境配慮型のライフスタイルへの転換を促していきたいと考えております。
次に、ダンボールコンポスト等の活用についてでございます。環境に対する取組につきましては、費用がかからないほうがより多くの区民の方々に参加していただくことにつながると考えております。ダンボールコンポストなどについては、費用も安価でございます。比較的取り組みやすい生ごみ減量の取組であると考えているところであります。区としては、ホームページその他の媒体でも、区民に対して情報発信をしてまいりたいと考えます。

近藤さえ子 再質問させていただきます。
今お答えを聞いていて、何か区長は本当にのんびりされているなと思いまして、本当に全国からも注目をされていて、被害者支援という、こういう支援ができている自治体があって、いろんなところから研修に来てくださいと言われているのが、今この中野区であるんですから、それをしっかりと職員の研修に入れていく。誰一人取り残さない、そういったことを目指しているんですから、それを進めないで、今、検討していますみたいな、今までの職員研修で、本当にただの職員のお勉強になってしまっては駄目なんですよ。目の前の人を救っていく、困っている人を救っている、それができる部署があるんですから、ぜひ取り上げていただいて、悉皆研修にしていっていただきたいと思いますけれど、いかがですか。

○区長(酒井直人) 近藤議員の再質問にお答えします。
今の犯罪被害者支援の窓口の担当職員が、いろんな各地に出かけて研修の講師を務めたりしているということはよく承知をしているところでございます。その職員の活用も含めて、人材育成のプログラムの体系の中で位置付けることは、これは必要でございますので、スピード感を持って、そこは検討していきたいと思います。

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