私の議会報告

令和3年 第4回定例会 11月29日 一般質問

1,権利擁護の推進について
2,新型コロナウイルス感染症対策について
3,その他


1,権利擁護の推進について、伺います。
 11月4日の厚生委員会で、中野区地域包括ケア総合アクションプランの中間のまとめが示されました。誰一人取り残されることなく、年齢や個人が抱えている課題の種類を問わず、支援を一体的・重層的に行う地域包括ケア体制を構築することを目的とし、区と区民及び区内関係団体が共に行動するための計画です。その施策の柱の1は権利擁護です。
 11月20日、中野区保健福祉部福祉推進課と東京都人権部人権施策推進課との合同主催で、令和3年度犯罪被害者週間行事のシンポジウムが開かれました。これまでの中野区の取組が評価され、東京都との共同開催が実現したものです。殺人被害者遺族と交通事故被害者遺族のお話があり、多くの被害者支援関係機関の方や区民が参加されました。このように中野区の犯罪被害者等相談支援窓口業務――以下窓口と言います――が発展してこられたことに対し、職員の皆様に感謝を申し上げるところです。まさに区が目指す、行政(区と都)と都内関係者団体の重層的な支援を行うことができる体制が整ってきています。このシンポジウムでコーディネーターを務められた帝京平成大学現代ライフ学部教授の大塚淳子氏は、全国の被害者支援の窓口で横浜市や中野区のように支援体制ができている自治体には被害者の心や体に寄り添い相談できる専門職が配置されていることを高く評価されていました。たまたま私は、その三日前、横浜市の犯罪被害者週間の講演会で講演者として様々な問題点などを話させていただきました。横浜市も被害者支援の先進自治体で、市と民間団体や弁護士会等連携が取られ、犯罪被害者等支援がスムーズに行われる仕組みが構築されています。そして、その中心に市民の心や体に寄り添う専門職が複数配置されていました。犯罪被害者等支援というものは、福祉や医療の学校を卒業して窓口に配属されたとしてもすぐにできるわけではありません。これまで高い評価を受けてきた中野区の窓口ですが、職員の異動もあり、これまでのように犯罪被害者支援に精通している会計年度任用職員が相談員に応募してくるとは限りません。今後、ベテランの職員や業務に精通した相談員が変わってしまうことで業務の質が低下してしまうことが十分に考えられます。今後、窓口の相談員に被害者等支援の経験がない職員が配置されても事業の質を落とさず、組織に経験が継続されることが大事です。犯罪の被害には様々なケースがあり、DV被害、殺人など、人による人権侵害を受けて傷ついている被害者の心に寄り添うには経験豊富な医療職の適正な支援が欠かせないと考えます。窓口に医療職の常勤職員を配置し、どのような相談が来てもしっかり寄り添える体制を確保する必要があると思いますが、いかがでしょうか。
 区は、誰一人取り残されることのないと言いますが、既に支援から取り残されてしまっている区民は少なくありません。例えば、高齢者虐待について、その数は年々増えています。私は、2008年、高齢者虐待防止体制の構築について質問をしました。地域包括支援センターが高齢者虐待の通報を受け、区に連絡したが、区が虐待として受理しなかったと考えられるケースがあったという内容でした。そのときの区のお答えは、近隣住民や警察、地域包括支援センター経由で来た通報を受理しないということは考えにくい。虐待として受理しなくても、デイサービス、ショートステイへの利用を勧めるなど、養護者、高齢者のケース、個々に応じて支援しているとの内容でした。高齢者への虐待は明らかに増えています。養護者による虐待件数は、2018年47件、2020年には75件と、1.6倍に増えています。虐待として取り扱わないケースもある中でこの数です。子どもたちの虐待防止については、児童相談所の新設、センター機能を持つ児童相談所に保健師3名と福祉職23名が配置され、今後は手厚い体制で取り組んでいくことになりますが、高齢者虐待対応のセンター機能を担っている福祉推進課には保健師等の医療職の配置はなされていません。高齢者の虐待について、もう少し手厚い対応が求められるのではないでしょうか。虐待の判断や対策の方針を検討するには医療職の力が必要であると考えます。高齢者の虐待を扱うセンター部門に保健師を配置するお考えはないでしょうか。
 犯罪被害者等相談支援窓口、高齢者虐待、これらは同じ健康福祉部福祉推進課が担当しています。兼任で一人の常勤保健師の配置が望まれます。現在は、コロナウイルス感染症対策、職員2000人体制と、超えなくてはならない高いハードルもあり、医療職の人材配置が簡単でないことは理解していますが、この2部門も保健師のジョブローテーションの中に組み込み、権利擁護の推進に寄与できる常勤職の保健師を育てていく必要があると思います。これらの体制が充実することによって中野区の権利擁護の取組が一層推進されると思いますが、御意見をお聞かせください。

 2,新型コロナウイルス感染症対策について
次に、新型コロナウイルス感染症対策について、伺います。
新型コロナウイルス感染の第5波では変異ウイルスデルタ株が流行し、全国で感染が急拡大しました。中野区でも、7月下旬から8月に連日100人を超え、8月21日には300人を超える新規感染者が出ました。保健所の職員の皆様及び医療関係者の御苦労は大変なものであったと思います。改めて感謝を申し上げます。
ここで、杉並区であった事例を紹介します。同区では、7月初旬に50人程度だった自宅療養者が1か月の間に1,000人規模にまで急増しました。感染し、同居家族への感染の配慮から自営業店舗での隔離療養をしていた方が、保健所に電話をかけ続けたがつながらず、たった一度つながった電話では保健所から待機するように言われ、電話を待ち続けた結果、最後まで保健所と連絡が取れずに亡くなりました。杉並区では、再発を防止する対策を講じるために検証を行い、検証結果を議会に報告しました。11月に開かれた保健福祉委員会を私も傍聴しました。杉並区の担当職員の答弁は、災害レベルの感染で対応できなかった。保健所も電話をかけたが、つながらなかったでした。この答弁には議員も傍聴者もあきれていました。テレビの取材も入っていましたが、高齢の家族を思い自ら隔離の方針を取り、保健所に電話をかけ続けたがつながらず、苦しんで亡くなった方、その遺族の気持ちを考えると、療養先を探す、本人を訪ねる、調査票に書かれている親族等の連絡先に電話を入れるなど、なぜできなかったのかと腹立たしい気持ちになりました。検証結果報告書を見ると、新規感染者や自宅療養者からの相談電話の中で、症状がかなり悪化し、往診や入院調整等、保健師による即時の支援が必要と判断した場合は氏名、症状等を詳しく聞き取り、保健師に引き継ぐことになっていたが、相談の全件について相談票を作成することにはなっていなかったとのことですから、軽症の感染者の中にはその存在が保健所の中に記録されていなかった件もあるということが分かりました。杉並区では、この事案を受けて、全相談を相談票に残すことにしたそうです。また、受診相談センターの電話回線は9回線で、派遣看護師9名で対応していたところを、電話回線48回線、最大48人体制に変更したといいます。それにしても、保健所内の情報共有、情報収集体制の不備は否めません。中野区では、自宅療養者等と確実に連絡を取るためにどのような取組を行っていたのでしょうか。保健所内の職員たちは共有マニュアルに従って動き、情報共有はできていたのでしょうか。杉並区では、このマニュアルもなかったといいます。今後、感染拡大の第6波が訪れる可能性のある中、保健所内の情報共有、情報収集体制がより万全になるように検証していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
これで私の全ての質問を終わります。御清聴ありがとうございます。皆さん、ありがとうございます。

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