私の議会報告

令和2年 第4回定例会 12月10日 
指定管理者の指定について反対討論

指定管理者の指定について反対討論


第92号議案に反対の立場で討論いたします。
第92号議案は、中野区中部スポーツ・コミュニティプラザ、中野区南部スポーツ・コミュニティプラザ、中野区鷺宮スポーツ・コミュニティプラザ及び中野区鷺宮運動広場の管理運営を株式会社東京アスレチッククラブ――以下、TAC(タック)と言います――と株式会社プロスペックで構成される「なかの未来グループ」を指定管理者として、令和3年4月1日から令和8年3月31日まで指定するというものです。私はこの議案に対して反対いたします。
反対の理由その1、中部スポーツ・コミュニティプラザについて、区民の評判がかなり低いことです。三つの施設は、これまでもTACが指定管理者として管理運営を行ってきましたが、中部スポーツ・コミュニティプラザについては、利用区民の評判がよくないとの声が多く聞かれます。現在、3か所の施設が1本の指定管理者契約となっているので、残念ですが、三つの施設全てで契約に反対せざるを得ません。
評価の低かった内容を申し上げます。
1、利用者が少ないのに同じような体操のプログラムが多過ぎます。中部スポーツ・コミュニティプラザは、中野区中央三丁目にあり、TACの本社、TAC中野は中野二丁目、サンプラザ内のTACは中野四丁目、新しい体育館キリンレモンスポーツセンターは新井三丁目、以前の体育館は中野四丁目と、それぞれ近い場所にあるにもかかわらず、どこでも同じような体操のメニューが用意され、中部スポーツ・コミュニティプラザで行われていた体操コースでは、参加者が3名から7名などという少数のコースが複数ありました。このことを区民が運営委員会等で指摘しても、改善はなかなか見られませんでした。区も、この件に関して把握していたとは思えません。見かねた私は、議会で何度も取り上げました。今年度になって体操のコースについては少し整理されましたが、利用者が少なくても内容を改善する姿勢がないこと、指導者・場所の経費に税金が使われている認識が低いことなど、区民のニーズに合わなくても、自分たちがやりたいような運営を続けてきたことは、税金が投入される指定管理者制度に甘えてきたとしか思えません。民間企業では考えられない実態です。民間企業は、絶えず競争力が働き、最大限のサービスを利用者に提供していくべきだと私は思います。
反対の理由の2番目は、利用者の声に耳を貸さず、見直しの検討も考えない体制です。中部スポーツ・コミュニティプラザのTACの指定管理者としての運営姿勢は、区民がそれぞれの健康づくり、仲間づくりを楽しむ施設である地域スポーツクラブの趣旨とはかけ離れたものでした。中部スポーツ・コミュニティプラザでは、高齢者の団体がスポーツ吹き矢を楽しんでいましたが、このスポーツ吹き矢の的を毎回自宅から運ばなくてはなりませんでした。がっしりとした重い的を運ぶことは、高齢者にとってはつらく、スペースにかなり余裕がある体操道具、マットや跳び箱などが置かれているTACのプログラムに使う道具保管の倉庫に的も置いていただきたいと区民がTACにお願いしました。しかし、TACは、区に相談することも、検討することもなく、各自で道具を運ばないのであれば、あなたたちはこの施設を使えないという趣旨の回答をしました。炎天下の中、高齢者が重い荷物を持って通うしかないとしたら、スポーツの楽しみどころではなく、具合が悪くなったり、倒れてしまう可能性もありました。その後、区担当者の工夫で、何とかがらがらに空いていた倉庫にスポーツ吹き矢の的を置くことができるようになり、利用区民は大変喜びました。地域住民が気軽にスポーツを楽しむ地域スポーツクラブ、地域コミュニティプラザの意味を理解せず、自分でできないのなら高齢者は利用は控えるようという税金を払う区民の立場を無視したTACの方針では、とても指定管理者を再度お願いしたい気持ちにはなりません。
ほかにも指定管理者に不信感を持っている区民の声を聞きます。満員で予約が入れられないのに、当日行ってみると体育館は使われていない。中部スポーツ・コミュニティプラザの地域スポーツクラブ、なかっちスポーツクラブは、TACの社員がほとんどを占めていて、他の会員より優遇されているように見える。TACに説明を求めても回答はなく、区民が腹を立ててどなっている様子が多々見られたようです。また、区もそのような声を把握していませんでした。指定管理者は、区に代わって事業を行うのですから、トラブルや困り事は、区なり運営委員会に報告すべきです。施設を使うに当たっての区民の困り事やトラブルを指定管理者が解決もせず、区にも一切報告もしないのです。
地域住民が指定管理者にこのような不信感を持つようでは、やはり住民主体のコミュニティプラザのありようとはかけ離れた状況だと考えます。
最後に、三つ目の反対の理由は、今回の選考の基準についてです。今回のプロポーザルには、二つの団体の募集がありました。前回の指定管理者の指定では、TACを含む1グループしか手を挙げるグループがありませんでしたが、今回は別のグループも手を挙げました。しかし、候補者には選ばれませんでした。厚生委員会で、候補者である「なかの未来グループ」は、信頼性・社会性の面で、もう一つのA団体を上回っていたと報告がありました。その中でも営業拠点が中野区であることが大きなポイントとなりました。総合点で僅かな差で敗れたA団体は、提案点では「なかの未来グループ」の提案より勝っていたと報告されています。区民は、より豊かなメニューが用意され、新しい体験ができるなどの事業提案点が勝っていることを求め、営業拠点が区内にある企業を育てるということより優先したいのではないかと、私は思います。総合評価方式の問題点が出てしまったと考えます。
他区の地域スポーツクラブは、住民により主体的に行われていて、多額の税金を民間企業に払い、指定管理者としてスポーツクラブを運営しているのは中野区だけです。このように、これまでも多くの問題点を抱えてきたTACが、再度5年間の長期にわたる契約の候補者として選ばれ、身近なスポーツ施設を楽しんで使いたいという区民にとっては、新鮮さも、わくわく感を抱けない結果となりました。残念ながら、私も区民の喜ぶ顔を想像することができません。
以上の理由から、第92号議案に反対いたします。多くの同僚議員の皆様の御賛同をいただきたく、お願い申し上げます。
御清聴ありがとうございました。

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