私の議会報告

令和1年第2回定例会 7月1日 一般質問

■令和1年第2回定例会 7月1日 一般質問

令和1年第2回定例会で近藤さえ子は以下の一般質問をしました。(7月1日)

 1、犯罪被害者等基本条例について
 2、8050問題について
 3、その他


1、 犯罪被害者等基本条例の制定について伺います。
 無所属の近藤さえ子です。5期目を迎えました。今期もどうぞよろしくお願いいたします。
最初に、私の立場を少し申し上げさせていただきます。私は、自己の力や努力だけでは生きられない人を支え、自立の道に導き、やがて自立したその人がほかの人を支える立場に成長していくサイクルになるように、行政には力を入れて取り組んでいただきたいと考えています。例えば、社会の中で他人のことを考え、思いやることができる子どもたちを育てる教育等もその一つです。また、若者から中高年まで、健康な人のひきこもりからの早期脱却等を促し、区民一人ひとりが自分の人生を楽しみ、かつ、ほんの少しでも社会のために貢献していく仕組みづくり、これを大切に考えております。
 私個人的には、交通犯罪の被害者遺族、性被害の被害者、弁護士等の司法関係者、自治体の職員、マスコミ関係者等とともに、犯罪の被害者やその遺族が少しでも悲しみと苦しみから浮かび上がり、それ以上の困難に遭遇しないように、支援者とともに歩むための道しるべとなるような被害者のためのテキスト、被害者ノートの作成にかかわってきました。民間から補助金をいただいてのボランティア活動です。高齢者による車の事故や、本来であれば輝く未来があるはずの若者が、加害者にも被害者にもなってしまう。このような殺人事件等が頻繁に起こっている、そういう事件・事故の現場でこのノートは多く使われています。
 このように、社会では、多くの人が自分の力だけでは立ち上がれない人に対し、さまざまな形のランティア活動で支援しています。しかし、条例をつくり、自治体として普遍的に被害者の立ち直りを応援していくこと、隣人の苦しみから目を背けない地域づくりに取り組むことは、民間のボランティアにはできません。まさに犯罪被害者等基本法が示す自治体の責務です。
 昨年の第2回定例会で私は、犯罪被害者等基本条例の制定を求めることを質問しました。これに対し区長からは、検討してまいりますとお答えをいただきました。あれから1年、検討状況を伺います。
 現在、東京都では、今年度中の犯罪被害者等基本条例制定を目指して取り組んでいます。東京都ではことしの3月、条例を求める陳情が、本会議で、全会一致で趣旨採択され、来年の第1回定例会で条例を制定することを目指しています。大変厳しいスケジュールであると思いますが、オリンピック・パラリンピック開催に向けて、世界に誇れる都市東京に、犯罪被害者のための条例がないのでは、都市としての成熟度も問われると考えられますので、都知事は急いでいるように思えます。現在月1回、有識者による懇談会が行われ、都知事はどの自治体にも負けない最高の条例をつくると話されたと伺いました。
 東京都はこれまで、具体的な被害者支援は被害者支援都民センターにほぼ丸投げ状態でしたが、多摩市、中野区のような被害者支援先進自治体の職員を講師として招き、その先進的な取り組みを東京の市町村に紹介する取り組みは行ってきました。既に東京都にとって中野区は被害者支援のノウハウを知る先輩であり、連携が欠かせないパートナーとなっています。大阪府、神奈川県、埼玉県などにおくれてやっと条例制定に動き出した東京都は、全国で一番よい条例をつくり、世界都市として本格的な安全・安心な社会の構築に踏み出しました。
 悲しいことに犯罪は日々起こります。区民が犯罪に巻き込まれたと聞くと、これだけ先進的な取り組みを行っていると評価されている中野区にはまだ条例がなく、条例を持つ自治体にできている被害者支援が中野区ではできずにいることに心が痛みます。区は、東京都の条例制定に合わせてスピード感を持って条例の制定を進めるべきと思いますが、現在の御予定、お考えをお聞かせください。
 

2、8050問題について
次に、8050問題、ひきこもりの支援について伺います。
80代の親がひきこもりの50代の子を支える8050問題が深刻化しています。ひきこもりとは、6カ月以上にわたる就学や就労、交遊といった社会参加を避け、家にとどまっている状態を指し、次のいずれかに該当する場合を広義のひきこもりとしました。1、自室からほとんど出ない。2、家から出られない。3、近所のコンビニなどにはでかける。4、趣味の用事のときだけ外出する。内閣府がことしの3月に公表した全国実態調査では、40歳から60歳の中高年のひきこもりは推定61万3,000人。若年層、15歳から39歳は推定54万1,000人となっています。中高年のひきこもり問題は2010年ごろより話題になっていましたが、豊中市のコミュニティソーシャルワーカー勝部麗子氏が、収入のないひきこもりの成人が親の年金を頼りに暮らし、家族ごと孤立して悩みを相談できずにいる状態を8050問題と提唱したものです。家族の経済的困窮や精神的疲労が社会に見える形となってきました。
6月22日、読売新聞夕刊に、「政府は中高年のひきこもりと高齢化する親に対し、『家族丸ごと』で支援する体制の整備に乗り出す」という記事が一面に乗りました。近年政府は、ひきこもり地域支援センターを整備するなど、ひきこもり対策に力を入れてきましたが、NPO法人KHJ全国ひきこもり家族会連合会の調査では、3割の家族が、相談はしたが助けてもらえなかったと答えていました。政府が本格的にひきこもり問題に力を入れようとようやく動き出したことは大変歓迎するところですが、それだけひきこもりの問題は深刻な行政課題であるということです。
不登校、仕事の挫折、人間関係の問題等、ひきこもりになる要因はさまざまですが、ひきこもりが長期になると、社会に出られないまま年をとってしまい、本人はつらい思いをしています。また、ひきこもりの成人を抱える家族は、子育てが間違っていたのではないかと自分を責めたり、また暴力におびえたり苦悩の日々を送っています。先日練馬区で起きた父親が長男を刺殺する痛ましい事件は記憶に新しいところです。私もひきこもりの成人を抱える区民から相談を受けてきましたが、中野区ではひきこもりに特化した部署もなく、家族の苦悩を受けとめ、解決に向かう体制は整っていないように思えます。家族の中で誰か一人でも家族のひきこもり状態を大変つらいと感じているのであれば、早期に外部からの支援が必要であると思います。中野区にはひきこもりを抱える家族を孤立させないためにどのような体制があるのでしょうか。
今年度から地域包括ケアシステムの体制は、高齢者対応だけではなく、全ての支援が必要な方への対応となりました。ひきこもり問題も、アウトリーチチームが対応しているのでしょうか。ひきこもりの問題には、まさにアウトリーチの支援が必要であると思いますが、どのようにお考えなのでしょうか。
他の自治体の臨床心理士や精神保健福祉士の資格を持つ社会福祉職の方に、ひきこもりの支援の経験を伺ったところ、長い目で見て信頼関係を築き、家の外に出てもらうまでに5年間かかった人もいたが、支援を続ければ社会復帰できる人も少なくないと話されていました。このような支援は、経験値の少ない若い保健師や福祉職にとってすぐに対応できるものではありません。区では、長い間福祉職や保健師などの専門職をほとんど採用してこなかったことから、福祉職等の人材育成は喫緊の課題となっています。難しいひきこもり対策等に取り組めるようなエキスパート職員、専門職の育成を視野に入れて人材育成に取り組むべきではないでしょうか。どのように専門職を育成していくのでしょうか。まずは社会全体で、悲しみを抱える隣人がいることを認識し、発見しても支援につながらないというようなことがないように、当事者、家族、行政、民生委員、訪問介護、支援団体、医師などが協力できる体制、まさに地域包括ケア体制をひきこもりにも築いていくべきではないでしょうか。いかがでしょうか。
これで私の質問は終わります。御清聴ありがとうございます。

○区長(酒井直人) 近藤議員の御質問、犯罪被害者等基本条例についての御質問にお答えします。
犯罪被害者条例の検討状況についてで、ございます。区は、犯罪被害者等基本法に基づいて相談員を配置し、犯罪被害者への助言や各種手続の援助を行うほか、家事援助等を行う緊急生活サポート事業を実施しているところでございます。条例については、被害者の状況を把握している警察や法テラスなどの意見を聞くとともに、先駆的な自治体における取り組みを調査するなど検討を行ってきたところでございます。今後はさらに検討を進めて、条例の考え方や新たな支援策についてお示しをしてまいりたいと考えております。
○地域包括ケア推進担当部長(藤井多希子) 私からは、8050問題への対応についてお答えいたします。
まず、現在区では、すこやか福祉センターのアウトリーチチーム、生活援護課の生活困窮者自立支援、地域包括支援センターなどで相談を受けております。ひきこもり支援者に取り組むためには、高度な専門的知識とスキルに加え、当事者御家族の気持ちを理解した支援ができる人材が必要であることを感じております。このような観点から職員の育成について今後研究してまいります。
ひきこもり問題に対しては、関連部署、関連団体が一体となって進める地域包括ケア体制を整備、強化し、包括的、継続的な支援を行ってまいります。

 再質問させていただきます。
犯罪被害者等基本条例の制定についてですけれど、東京都の今条例制定が進んでいるということにあわせて、スピード感を持って中野区も条例の制定をすべきと思いますけれど、御予定とかお考えをお聞かせいただきたいという質問をさせていただきましたが、そこの部分がなかったと思います。
あと、ひきこもり対策の人材育成については、もう一度どのような育成の仕方というか、そこら辺がなかったと思いますので、よろしくお願いいたします。

○区長(酒井直人) 近藤議員の再質問で、犯罪被害者等基本条例について、でございます。東京都が今年度中に制定するということで聞いております。中野区としてもスピード感を持って制定をしてまいりたいと考えております。
○地域包括ケア推進担当部長(藤井多希子) 再質問の人材育成の件ですけれども、今後、高齢者だけの地域包括ケア体制ではなくて、障害者、子どもも含む地域包括ケア体制を進めるに当たって、人材の分担ですとか配置などについてもあわせて考えていかなければいけないと思い、その中でどのように育成していくかということも考えてまいる所存でございますので、現段階ではこのような方法でというふうに明確なお答えはちょっとできないのですけれども、今後しっかり検討してまいります。

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