私の議会報告

平成28年第3回定例会 9月13日 一般質問

■平成28年第3回定例会 9月13日 一般質問

第三回定例会で近藤さえ子は以下の一般質問をしました。(6月8日)

 1、高齢者と生活保護について
 2、第六中学校跡地の道路整備について


1、高齢者と生活保護について 

 まず、高齢者と生活保護について伺います。
9月7日、厚生労働省が発表した生活保護受給世帯数によれば、ことし6月に生活保護を受けたのは163万4,693世帯で、前月より1,292世帯ふえ、2カ月連続で増加しました。世帯別では65歳以上の高齢者世帯が前月より957世帯ふえ83万2,525世帯で、このうちひとり暮らしの世帯が90%以上を占めるそうです。
私は、8月に生活保護問題対策全国会議、全国公的扶助研究会主催の研修会に参加しました。生活保護に関して、大学教授、ジャーナリスト、弁護士等さまざまな立場の方から講演がありました。講師の1人であり、昨年6月に出版され、20万部以上の売り上げになった新書「下流老人」の著者、藤田孝典氏によれば、下流老人とは生活保護基準相当で暮らす高齢者及びそのおそれがある高齢者のことで、現在700万人いると類推され、今後もふえる傾向にあるそうです。
国は、ふえ続ける社会保障費を抑えるために、2015年度、住宅扶助、冬季加算、基準生活費の引き下げなどを行ってきました。しかし、今後、低年金、無年金等の高齢者がふえていけば確実に生活保護を受ける高齢者はふえていきます。さきに挙げた厚生労働省の生活保護受給世帯数によれば、働くことができる世代で生活保護の受給世帯は減少しているが、年金だけで生活できないひとり暮らしの高齢者がふえ続けているため、全体では増加しているのではないかと分析しています。生活保護の基準に達し生活保護を受けている人の割合を生活保護の捕捉率といいますが、生活保護基準相当の暮らしでも生活保護を受けていない人も大勢います。その原因としては、生活保護を受けるのは恥ずかしいと思う、生活保護制度そのものを理解していない、あるいは理解できない、手続が煩雑でわからない等、高齢者にありがちの理由が挙げられています。日本の生活保護の捕捉率は20%から30%程度と言われています。生活保護基準以下の低所得者で生活保護を受給していない人が7割以上いるということです。捕捉率の計算は難しく、一概に比較はできませんが、例えばフランスでは90%という数字があります。現在、区の生活保護基準以下の世帯で、実際に生活保護を受給している世帯数、生活保護の捕捉率は何パーセントぐらいなのでしょうか。
生活保護費は、区の財政の10%と大きなウエートを占める予算です。その中でも増加しているのが高齢者世帯の予算です。その要因としては、無年金もしくは年金額の低さ、預金の少なさ、また急な病気やけがにより働けなくなり想定外に預金を取り崩さなくてはならなかった等がありますが、特に長引く病気やけが、あるいは認知症の発症、これは高齢者にとって避けられないリスクです。今後は超高齢化が進み、独居老人もふえていきます。区には、生活保護制度の目的である最低限の保障と自立の助長をいかに果たしていくかの手腕がますます求められていくことでしょう。
前述の藤田氏が、生活保護に頼るしかない、あるいは生活保護にも頼れず孤独死していく下流老人の増加を解決するために挙げた方策の一つに高齢者に対する就労支援があります。現在、人生はどんどん長くなり、65歳以上でも元気で働ける高齢者は増加しています。また、何歳であっても働いて社会とかかわり続けることで社会的孤立化を防ぎ、高齢者の人生に自信を与え、受け取る金額以上に生活を豊かにすることができます。シルバー人材センター、NPO、短時間・簡単な労働を担っていく中間的就労などの支援を65歳以上の高齢者にも取り入れていくべきではないでしょうか。区では、生活保護基準相当の65歳以上の就労支援にどのように取り組んでいるのでしょうか。
区には、生活保護受給者や経済的に困窮して孤立している高齢者と地域社会とを結びつける取り組みはあるのでしょうか。私は、健康教室への参加などを呼びかけ、区民検診受診後の改善運動プログラムの提供などを行い、高齢者の健康と医療費削減につなげるべきだと考えます。ぜひ取り組んでいただきたいと思います。
また、区では1人のケースワーカーが100人以上も担当し、生活困窮者に向き合い、健康と自立への道を共に模索するにはあまりにも遠い体制と思います。今後ますます社会保障費が膨らんでいく超高齢社会に向かい、限りある財源を生かし、区民が少しでも心豊かな老後を過ごせるように、ケースワーカーの質と量の確保は喫緊の課題と考えますが、御見解をお聞かせください。
今後、日本は高齢化社会が進み続け、古くからの住宅地が多い中野区もますます高齢者が圧倒的に多い地域になります。高齢化してから年金受給額をふやすことはできませんし、預金をふやすこともできません。高齢化が大きなリスクとなる病気やけが、認知症の発症等は個人の力で防ぐことはできません。いつ、何時、私たちは生活保護を必要とする立場になるかもしれません。中野区に長く住まい、これまで活躍してきた高齢者が社会的に孤立することなく、いつまでも元気に幸福感を持って生きていける地域を目指して、高齢者に対する社会保障・社会福祉が整った区になるよう希望いたします。高齢者が幸せに暮らせるまちは若者にとっても幸せなまちとなることは間違いないと申し上げて、この質問を終わります。

2、第六中学校跡地の道路整備について

次に、第六中学校跡地の道路整備について伺います。
平成26年度、区は、第六中学校跡地を東京都に売却しました。その一部を残し、今年度、区道を整備する計画となっています。
ことし6月、第六中学校跡地の近隣の区民から、区から、家の裏に道路が整備されるのでボーリング調査を開始する旨の知らせが来たが、家の裏に道路ができることは何も聞いていないがと怒りの問い合わせを受けました。この地域は住宅密集地であり、防災の観点からも幅のある道路の必要性は理解できます。しかし、ボーリング調査を始める段階まで隣接する住民が新しくつくられる道路について何の情報も与えられなかったことに私は驚きました。あまりにも区民を無視した対応であると思い、担当部署に尋ねましたが、基本的に区の土地に何をつくるかは特に事前に近隣住民に説明はしていないということでした。道路整備は、たとえ用地買収等がなくても、地域にとっては重要な事柄です。計画立案の際に、区はなぜ地元に相談や説明を一切しなかったのでしょうか。学校の跡地整備なので、住民の立ち退き等のリスクもなく、残る広い敷地もあり、行政にとっては道路がつくりやすい環境ではありますが、ボーリング調査を始めるまで住民には何も知らされず、突然「道路をつくります」というのはあまりにも乱暴なやり方に思えます。この道路が整備されることで家の三方が全て道路になってしまう家もあります。また、この場所は日常的に車道として必要性を全く感じられず、かなりの勾配があり、スケートボードなどのたまり場にもなりかねないと住民は危惧しています。現場に暮らす住民の意向を尋ねることなく、突然生活環境を変えられてしまうことに区民は大変困惑しています。新しく建設される道路の詳細について区からは何も説明がありませんでしたが、そもそもこの道路を新たに整備する理由と必要性を教えてください。
この道路予定地に隣接する区民からは、道路整備に対する反対意見や計画変更を求める意見なども出されています。一方、この道路整備については、既に平成28年度予算に整備費が計上されていますが、これら反対する人たちの理解を得ない状況で、予定どおりこの道路整備を行う予定でしょうか。お答えください。
今、中野区の各所でまちづくりの勉強会が行われています。大和町のまちづくり、西武新宿線のまちづくり、中野駅周辺のまちづくり、いずれも近隣住民たちは自分たちのまちの未来図を描き、少しでも自分たちのまちがよくなるように検討を重ねています。第六中学校跡地周辺地区も他の地区と同じように住民が未来を描く時間は持てないのでしょうか。
先ごろ、野方駅周辺地区まちづくり検討会が設立されました。区の報告によれば、野方駅周辺地区がより魅力的で活力があり、安全で安心なまちとなるためにまちづくりを検討することがこの検討会設立の目的であるといいます。第六中学校跡地周辺もこの検討会の検討対象区域となっています。野方駅周辺地区全体のまちづくりを検討する中で、今回の道路整備についても再検討することが必要ではないでしょうか。このまま整備を進めることは地域にとっても区にとっても望ましい形にはならないと思いますが、いかがでしょうか。
野方駅周辺地区まちづくり検討会は始まったばかりです。その検討地域でもある第六中学校跡地周辺の道路整備について、一度立ちどまり、近隣住民が自分たちのまちの将来のあり方を検討できるお時間をいただきたくお願いして、私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございます。

○区長 答弁

 高齢者と生活保護についての御質問であります。中野区における捕捉率について。捕捉率につきましては、区の統計数値はありません。また、捕捉率の算出については、中野区全世帯の就労所得のみならず、年金や資産状況、世帯構成などを詳細に把握するなどの必要があるため、区独自の調査は難しいと考えております。
高齢世帯に対する就労支援について。高齢者世帯に対する就労については、就労を希望する方がいる場合は中野就職サポートや中野就労セミナーを活用して就職を支援しております。正規就労が難しい場合などには中野区被保護者自立促進事業によってシルバー人材センターの活動につなげるなど、社会参加を促進しているところであります。
高齢者の社会的孤立の防止について。高齢者の社会的孤立を防止するため、各地区の民生・児童委員と担当ケースワーカーとの連絡会の開催やケースワーカーによる訪問活動の中において地域参加への促しを行っているところです。また、被保護者自立促進事業を活用し、ボランティア講座受講料、ボランティア保険の一部を支給しているほか、健康増進の一環として高齢者が介護予防教室に参加する際の費用についても支給し、地域参加を支援しているところであります。
ケースワーカーの質と量の確保について。生活保護ケースワーカーについては、所管分野での職場研修のほか、東京都をはじめ関係機関の研修に参加し、育成を図っております。配置数については、さまざまな行政課題を解決するため、毎年度各部からのヒアリングを行い、組織体制や業務執行方法などもあわせて検討を行いながら適切な人的配分に努めているところであります。
私からは以上です。

 

○都市基盤部長 答弁

 第六中学校跡地の道路整備についての御質問にお答えいたします。
計画立案の際の地元への相談、説明についてでございます。本件道路整備につきましては、用地の買収等が伴わないものであることから、計画段階での地元への相談などは行っておりません。今後、道路整備に着手する前に隣接地などへ説明を予定しているところでございます。
次に、道路整備の理由、必要性についてでございます。第六中学校跡地周辺は木造住宅密集地域であり、避難に利用できる道路の整備がおくれていることから、災害時の地域の安全性の向上のために既存の公共用地を活用して道路整備をするものでございます。また、第六中学校跡地は隣接する都立中野工業高等学校の拡張地として避難所となる予定であることから、避難所としての機能向上を図るために避難所に接して道路を整備することとしたものでございます。
隣接への対応についてでございます。今後、道路の必要性等について丁寧に御説明し、御理解を得ながら整備を進めたいと考えております。
最後に、野方駅周辺地区まちづくり検討会での検討についての御提案でございますが、新たな道路整備につきましてはその必要性を踏まえ、予定どおり整備を進めていきたいと考えているところでございます。

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