私の議会報告

平成27年第4回定例会 11月30日 一般質問

■平成27年第4回定例会 11月30日 一般質問

第四回定例会で近藤さえ子は以下の一般質問をしました。(9月14日)

 1、新しい中野をつくる10か年計画(第3次)(素案)戦略Ⅵスポーツ・
   健康都市戦略について

 2、その他


 現在中野区では、新しい中野をつくる10か年計画(第3次)を策定しています。各地域で素案の区民説明会も開かれました。私は今回その中のスポーツ・健康都市戦略(健康アクティブなかの)の部分について質問させていただきます。
 「スポーツ・健康づくりで活気のみなぎるまち」、「健康的な暮らしを実現するまち」等の項には、「健康寿命の延伸による社会的コストの軽減が喫緊の課題である」、「高齢化が進むとともに、医療費及び要介護認定者数・介護サービス利用量が今後も増えると見込まれており、抑制を図ることが急務です」等、課題は認知されていますが、今後どのようなアプローチをし、医療費や介護費用の抑制を図っていくのか具体的な計画が見えてきません。説明会に出席した区民からも「具体的な内容がない」という声がありました。
 区では、他の先進的な取り組みやまちづくり事例を学び、新たな知識や視野を取り入れ、今後の戦略策定や少子高齢化、超高齢社会における施策事業づくりに資するという目的で、プラチナ構想スクール中野を実施してきました。プラチナ構想ネットワークに講師の派遣依頼をし、これまで4回、管理職を含む職員に呼びかけ、研修を行ったと伺っています。11月5日に行われた4回目の研修のテーマは「上越市における健康づくり活動」でした。私は参加された方から説明を聞き、当日配付の資料を拝見させていただき、上越市のすばらしい取り組みについて調べてみました。この上越市の取り組みをもとに何点か質問いたします。
 配付資料の題名は、「健康づくり活動を市民運動に 健診から始まる健康づくり~上越市の実践報告~」となっていて、大まかに以下3点のアプローチが紹介されています。1.介護給付費や医療費の実態の把握と分析からのアプローチ、2.これまでの保健活動の振り返りからのアプローチ、3.保健・福祉分野の組織のあり方からのアプローチです。まずは、健診を推進し、市民の実態を把握し、それらのデータやかかった医療費等を集約し、分析し、その結果を市民に説明し、保健師が具体的な解決策に動く方法です。
 新潟県上越市は、市民が主体的に健康づくりを実践できるよう、具体的な計画「健康シティ上越・2010計画」を策定し、徹底した課題の把握と改善への取り組みを始めました。市民のデータを分析した結果、2011年人口20万人、高齢化率26.55%、介護給付率は年間7~9%増で推移、保険料は全国で3位の高さでした。要介護者の重症化傾向と認知症の増加、1人当たりの医療費も県内高水準の状況であったそうです。この状況を踏まえて、例えば、健診と保健指導を受けた人と健診を受けなかった人では、高血圧や糖尿病で1カ月に1人当たり1万4,000円から1万6,000円も医療負担に差が出ているというデータをもとに、保健師が具体的な指導をするなど対策を講じました。また、生活保護受給者の入院費の割合も著しく高いことも分析、検証し、生活保護受給者へのアプローチも行いました。結果、国民健康保険料の伸び率の減少、医療費の減、介護保険給付費の伸び率の減少等、社会的コスト減の成果をもたらしました。上越市では、これらの取り組みを「健康づくりの責任を市民に返すための活動」と呼んでいます。数値化された各自の情報をもとに、保健師から細かい指導を受けている住民は、各自が次にどのような健康づくりに進めばよいかを理解しています。
 中野区も10か年計画(第3次)の素案の中で、「区民一人ひとりが、健診結果などの情報や身近な医療、地域の取組などを活用しながら、健康の自己管理に努め、健康の維持向上を図っています」と健康づくりの責任を区民に求めてはいるのですが、そのための政策は見えてきません。箱物をつくって、場所は提供しましたので、皆さんそれぞれ勝手に運動や活動をされて健康になってくださいという現状に思えます。
 中野区でも、健診、医療費、介護保険等を一元化した分析が必要であると考えますが、中野区での取り組みの現状はどのようになっているのでしょうか。
 すこやか福祉センターやスポーツ・コミュニティプラザなどでは、さまざまな健康教室が行われていますが、区民の健康アップ、健康維持という観点から、それぞれの事業効果をどのように高めようと考えているのでしょうか。
 上越市の市民の健康と社会的コストの削減への目標達成への方針は、まず市民の現状把握、次に改善へ向けての根拠ある施策を作成したことです。例えば、生活習慣病予防を通じて医療費と介護給付費を削減すると具体的な政策目標を掲げ、その実現のためにプロジェクトチームを組織し、関係所管の連携ではなく役割分担を明確化しました。中野区でも、今後、健康アクティブなかのを実現しようとしているのですから、新たな推進体制を検討する必要があると考えますが、いかがでしょうか。
 現在の中野区では、介護給付が区民サービス管理部の担当、介護予防や地域包括ケア推進等の運用は健康福祉部と部署が分かれていたり、健康づくりを行う部署は地域支えあい推進室と健康福祉部の両部がそれぞれ行っています。もちろん各部署はそれぞれ個別の目標を立てて業務を行ってはいますが、それらの事業の成果をはかることはできず、部署ごとにしっかりやっていますといった事業になってしまい、上越市のような、生涯を通じて住民の健康への支援体制を築いていくという意気込みは感じられません。保健師たちは、健診後の指導はしても、翌年の成果を見るシステムにはなっていないのですから、区民のその後が気になりながらも、本来の力を発揮し切れない状態なのではないでしょうか。上越市では、乳幼児から子どもたち、青年、中年、高齢者と市民の現状を調査し、生涯を通じた住民の健康と社会的コストの削減に取り組んでいます。住民の健康と社会的コストの削減は、中野区が取り組まなくてはならない喫緊の課題なのですから、その目標に向かって、保健・福祉分野の組織のあり方を見直し、横断的なアプローチができるような体制を築き、喫緊の課題に立ち向かっていただきたいと思います。
 最後に、この日の講師、上越市教育委員会事務局教育部長の野澤朗氏(前健康部長)が強調されたのは専門職の配置です。私は、認知症の問題などで専門職員の手薄さを何度も質問してきましたが、野澤氏曰く、「プロを生かした組織の検討が必要」とのことでした。氏は、「保健師、栄養士などの専門職が事務、雑用に追われているようではもったいない」と話されました。中野区が目指している少数精鋭の2,000人体制を今後どのように築いていくかという課題に対しての大変参考になるお言葉だったのではないでしょうか。
 住民への個別支援には専門職の活用が欠かせませんが、すこやか福祉センター等の保健師は、半端ではない量の一般事務もこなさなくてはならず、専門性が十分に生かせていないように思えます。保健師などの専門職がプロとして知識を十分生かして、区民のための仕事ができる環境の整備体制が必要であると思われます。中野区も10か年計画で喫緊の課題としている高齢社会と区民の健康のために計画した事業が最大の効果を生むような職場環境の整備や人材の加配に取り組むべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 第3次の10か年計画の今後28年から平成37年の10年間は、上越市が健康づくり活動を市民運動に返すことに取り組んだように、バトンを渡された個々の区民がみずからの健康を考え、歩めるための計画にならなくてはなりません。区民の実態をしっかりと把握し、目標への根拠のある施策に取り組んでいただくことが何より必要になってきます。
 このような先進自治体の取り組みを勉強された区の見解をお聞かせください。区の有効的な取り組みによって、少しでも中野区民の健康寿命が長くなることを願いまして、私の質問は終わります。

○区長(田中大輔) 
健診医療費等のデータの一元化分析と区の取り組みについてであります。平成26年10月に、全国健康保険協会、協会けんぽですね。この協会けんぽ東京支部と区との間で協定を結び、それを踏まえて両者による連携会議の開催やそのもとに設置をいたしました実務レベルのワーキンググループにおきまして、健診結果や医療費データなど各種データの分析などをもとに意見交換を重ねているところであります。今後は、介護保険関連のデータなどとも連動させ、区民の受診率向上、効果的な生活習慣病予防などの改善に結びつけて活用できるように取り組んでいきたいと考えております。
すこやか福祉センター等の健康事業の効果の向上についてであります。すこやか福祉センター、スポーツ・コミュニティプラザでは、区民の健康づくりを目的としたさまざまな事業や教室を実施しているところであります。今後、事業効果をより高めるために、診療や健診等のデータを活用した新たな健康づくりの政策立案等を進める中で、実施体制や手法について検討していきたいと考えております。
健康アクティブなかのを実現するための新たな推進体制についてという御質問もありました。健康アクティブなかのを実現するために10か年計画素案でお示ししている「スポーツ・健康づくりで活気のみなぎるまち」など四つの施策展開から体系的な取り組みを検討しております。全体の取り組みが効果的に遂行できるよう、各担当が役割分担をしながら協働して推進してまいります。
すこやか福祉センターの保健師の専門性を生かせる体制づくりということであります。当区におきましては、保健師等の医療職をすこやか福祉センター等に分散配置をしております。本庁へ集中させた上越市とは違う組織運営を行っていますが、保健師はその専門性を発揮して子育て支援や障害者、高齢者対応のほか、感染症予防、健康づくり、介護予防などに取り組んでおります。今後も専門職がその専門性を高めながら十分にその能力が発揮できるよう、人材育成と計画的な人材配置など、その職務環境の整備を行ってまいります。
上越市の方の研修を聞いてどうだったかということであります。区においても、上越市をはじめとする他自治体での先進事例などを参考にしながら、区民の健康づくりに向けた取り組みをより一層進めていきたいと考えております。

〇近藤  再質問させていただきます。
本当に今喫緊の課題で区民の健康づくり、そして医療費の削減ということが問題になっております。今でもやっていらっしゃることはよく理解しているんですけれど、やはりきちっとした明確な目標を立てて、実現するためのプロジェクトチームをつくり、そして連携してやっていく。みんなで協力してやっていくということではなくて、役割分担をしっかりと明確にして、そして推進体制をつくっていかなければ、これからの本当に徹底的なやり方をしなければ、医療費の削減ですとか、そういったものは可能になっていかないと思いますので、ぜひもう一度役割分担の明確のところをお答えください。

○区長(田中大輔) 健康づくりも大変重要な課題であります。そのほかにも重要な課題が区政はたくさんありまして、一つひとつに正式の組織のほかにプロジェクトチームをつくっていたら、組織が複雑で何が何だかわけがわからないことになってしまいます。中野区では、目標を明確にして10か年計画、そしてまた年度ごとの区政目標というものを定めて、その目標に向かって役割分担をして、機能的にそれぞれが力を合わせて活動するということを行っております。

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