私の議会報告

令和4年 第4回定例会 11月29日 一般質問

1 重層的支援体制の構築について
2 消費者行政の充実について
3 その他


 無所属の近藤さえ子です。よろしくお願いいたします。
 まず、重層的支援体制の構築について伺います。
 今年の第3回定例会で、私は、80代の親が50代のひきこもりの子どもを抱える8050問題について質問させていただきました。長年地元に住まい、地域社会とつながっていた御高齢のお母様が入院してしまった後、家にひきこもり社会とつながっていなかったお子さんが、どこからも支援を受けられずに一人取り残されて亡くなって見つかったケースです。
 母親は介護保険を受けていたので、普段の親子の二人の生活は社会で見守られていました。しかし、母親が入院して介護保険から外れ、ヘルパーさんが引き揚げてしまう状況になったときに、すこやか福祉センターや地域包括支援センターにこのお宅の状況が共有されていれば、その情報を基に子どもに早期の支援ができたのではないかと、私は残念でなりません。
 地域の方々もすこやか福祉センターに相談されていましたが、母親が入院した情報はどこからも入らず、母親の入院後、残された子どもに速やかな支援が入ることはありませんでした。この御家庭のことを心配されていた地域の方は、情報が共有されていれば僅かでも何か協力できることがあったのではないかと悲しい思いをしています。
 区は現在、重層的支援体制を検討しているところですが、重層的支援を進めるには、今回のように他機関との連携が大変重要になってくると思います。
 先日私は、厚生委員会で岡山市を視察し、岡山市地域共生社会推進と総合相談支援体制づくりについて説明を伺いました。総合課題解決に向けての対応の項目の中に、まさに中野区でもこれを取り入れていくのがよいのではないかという取組がありました。
 岡山市では、各相談機関において、世帯全体の課題把握が不十分である課題に対応するために、複合課題のチェックシート「つなぐシート」を導入しました。「つなぐシート」で世帯全体の課題を把握し、相談支援包括化推進員を配置し、関係機関から相談があった調整困難ケースについては、世帯全体の課題を整理し、連絡調整し、会議の準備をして、複合課題ケースについての検討が行われるのです。
 さきに申し上げた御高齢の親とひきこもりの子どものケースも、このような「つなぐシート」が保管されて情報の伝達が速やかに行われれば、重層的な支援が必要な御家庭を守ることができたのではないかと思います。岡山市の人口は約70万人、中野区の人口の倍以上の都市の取組です。中野区でも、相談を受けた機関が他の関係機関と連携を図るために、「つなぐシート」のような共通の仕様のシートをつくり、速やかに情報共有を図るべきと思いますが、いかがでしょうか。
 また、地域住民が支援の必要な家庭の異変に気づき、その情報をすこやか福祉センターに伝えても、そこで聞き置くだけにとどまってしまっているケースをよく聞きます。御希望があれば、近隣住民もケースの関係者として支援検討会議に参加してもらい情報を提供していただく、また、その後の見守り等近隣住民としてできる支援の有無などを話し合っていただいてはいかがでしょうか。

 次に、消費者行政の充実について伺います。
中野区消費生活センターが毎年発行している「中野区の消費者行政」令和3年、2021年度、「消費者相談の現場から」2022年3月号には、以下のような区長からのメッセージが載っていました。「高齢者を狙った詐欺や悪質商法が後を絶たず、振込め詐欺や定期購入に関するトラブル等のほか、リフォーム工事やインターネット接続回線などの情報通信分野に関する相談も多くなっています。」「誰もが、中野のまちで安心した暮らしを営むことができるよう、今後も消費生活行政の充実に向け取り組んでいきます。」
区長が言われるように、振り込め詐欺や、リフォーム工事、インターネット接続回線等の情報通信分野のトラブル、私もこれらのトラブルに巻き込まれた方を何人も知っています。我が家にも、屋根の修理等をかたり20回以上も業者が来ています。自宅を訪れた業者に勧められて不要な契約をしてしまった人に対して、何でそんな高額な契約をしてしまったんでしょうねと驚かれる方もいらっしゃいますが、何度もしつこく足を運ぶ業者を断り切れなかった人もいるのではないかと思います。
区は、高齢者がタブレットやスマートフォンの操作ができるよう、デジタルデバイドに対する支援策なども取っていますが、デジタル化が進む今の社会の中で、高齢者自身がタブレットやスマートフォンなどを操作するとトラブルに巻き込まれるのではないかと懸念する声も聞きます。
消費生活センター発行の月刊誌「消費者相談の現場から」に「今後も消費生活行政の充実に向け取り組んでいきます。」と区長が書かれてから半年以上がたちましたが、どのような取組を充実させてきたのでしょうか。
トラブル相談の多いリフォーム工事の業者の中には、夕食の時間帯に訪ねてくることもあります。ほかにも、スマホゲームや、高額課金をしてしまったという未成年の子どものトラブルもあります。「消費者相談の現場から」には、困ったときは消費生活センターまでお電話くださいとありますが、受付時間は9時半から16時までです。また、直接相談したいと思っても、土日祝日はお休みです。通学、通勤している区民、夕方発生した案件などに対して、消費生活センターは気軽に相談できる体制になっていないように感じますが、いかがでしょうか。
先日、区役所1階で第41回消費者生活展2022が行われました。区役所玄関前には「消費生活展」という大きな看板が飾られていました。さぞや大きな催しであろうと思わせる看板でしたが、実際の会場は、長机を二つ置くのがやっと、そこに数人が座り、生活の中でできるSDGs、持続可能な開発目標の取組を区民に説明していました。この消費生活展は41回と回を重ね、長年にわたり消費生活の改善、充実に取り組んできた区民団体の方が、社会の問題点や、消費生活は区民一人ひとりの心がけであることを熱心に啓発していました。
以前は区民と行政が一緒になり、広い会場で消費生活展を開いていたのに、玄関前にある大きな立派な看板はそのときに使っていたものだそうです。その看板の大きさは、以前の中野区が区民とともに取り組む消費生活行政の勢いをそのまま象徴しているように感じました。今回は会場があまりにも狭く、来場された区民からは、消費生活展の会場はどこですかと聞かれたそうです。そこが会場の全てだと知った区民は、ここは受付なのかと思いましたと驚かれたそうです。
狭い会場でも工夫を凝らし、区民の消費生活の改善、向上に取り組む区民団体の活動は評価しますが、後を絶たない高齢者を狙った詐欺や悪徳商法等が社会的な大きな問題であることを区が認識しているにもかかわらず、区が広く区民を対象とした啓発事業をされている様子はあまり見えてきません。
中野区の犯罪被害者等相談窓口は、全国的に先進的な取組であると評価されています。その理由として、犯罪に遭った方への支援体制の充実はもちろんですが、この川の下流で傷ついた人たちに対するケアに対応する仕組みと、川の源流で事件を発生させない、加害者をつくらないための取組、これが啓発活動です、が同時に評価されているのです。
毎年の職員研修、区民への講演会、子どもたちへの区立小・中学校でのお話会など、犯罪の被害者にならないことは避けられなくても、加害者にならないことは誰でもできる、そして、被害を少しでも抑えるために個人ができることは何なのか、これを講演の中で伝えています。
年代を問わず、悪徳商法等の被害で悩む声を聞きます。消費生活センターへの相談に結びつかない方も大勢いると思います。区は、悪徳商法などの被害を防止するために、広く区民に届く方法で注意喚起及び消費生活センターの活動等をPRすることにさらに力を入れるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
区民が中野のまちで安心して暮らしを営むことができるよう、長く区民と一緒になって活動してきた歴史ある中野の消費生活行政のさらなる充実を求めて、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

区長(酒井直人) 近藤議員の御質問にお答えいたします。
まず、重層的支援体制の構築についてで、関係機関連携のための方策についての御質問です。アウトリーチチームが相談を受けた際には、すこやか福祉センターと区民活動センター間においては共通の相談記録様式がございまして、これに記載をし、情報共有を図っているところであります。ケースに関わる他の関係部署や地域包括支援センター、社会福祉協議会などとの情報共有の方策について、個人情報保護の点も含めて調整を図ってまいりたいと考えます。
次が、近隣住民の地域ケア個別会議への参加についての御質問です。これまでは、個人情報保護の観点から、近隣住民の関係者とはケース情報を共有することは難しい状況でございました。地域ケア個別会議では、会議参加者に守秘義務を求めることで個人情報を共有できることから、近隣住民の関係者も参加できるようになりました。本人との関係性や支援体制の中で求められる役割などを慎重に考慮し、必要に応じて地域ケア個別会議への参加を依頼していきたいと考えております。
次に、消費者行政の充実についてでございます。
まず、区のこれまでの取組についてです。区は、区民が消費生活において被害を受けることを防止するとともに、消費者の自立を支援するための取組を推進することは重要であると認識をしております。区民が安心して安全で豊かな消費生活を営むことができるように、これまで区は、消費生活相談の実施、消費者講座の開催及び悪質商法による被害防止のための啓発等を行ってまいりました。
特に、2022年4月から成人年齢が引き下げられたことによって成人となった区民については、新たな消費者被害が発生するおそれがあることから、今年度は、区内の高等学校、大学等への出前講座の開催や注意喚起のポスター配布など、被害の未然防止のための取組を充実させてまいりました。
そして、消費者被害を防止するための区民に対する注意喚起などについての御質問でございます。区民が安心して消費生活を営むためには、被害防止のための情報を入手することが重要でございまして、区は、啓発用リーフレットなどを活用して、消費者被害に関する情報を提供することによって注意喚起を行ってまいりました。
そのほかにも、区は、消費生活センターの活動として、専門相談員による消費生活相談の実施や、消費者団体等が開催する消費生活展への支援、さらに消費者団体が主催する講演会等への講師派遣など、様々な取組を推進しているところでございます。
今後も区は、区民を消費者被害から守るために、適宜適切に注意喚起などの消費生活行政に関する啓発活動を継続するとともに、消費生活センターの活動をPRしてまいります。

近藤さえ子 再質問させていただきます。
消費生活センターが気軽に相談できる体制にはなっていないのではないかと感じているんですけれど、そこのところのお答えがなかったので、ぜひ教えていただきたいと思います。ぜひ、区民と一緒になって活動してきた歴史ある中野の消費者生活行政のさらなる充実を求めていますので、気軽に相談できる体制を築いていただきたいと思いますけど、いかがでしょうか。

区長(酒井直人) 再質問にお答えいたします。
気軽に相談できる体制になっていないのではないかという御質問でございました。
現在、区の消費生活センターの相談時間につきましては、月曜日から金曜日の午前9時半から午後4時までであるということでございます。時間でいきますと、国の機関である国民生活センターでは土日及び祝日の午前10時から午後4時まで相談を受け付けているところで、一方、もう一つ、東京都消費生活総合センターの相談時間は月曜日から土曜日の午前9時から午後5時までとなっております。周りの他区の状況も含めまして、相談時間については一定数確保されていると、時間については捉えてございます。
ただ、気軽にできる相談体制ということになりますと、この開設時間のみではないという御指摘であると思いますので、そこについては検討してまいります。

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