私の議会報告

令和4年 第3回定例会 9月14日 一般質問

1)重層的支援体制の整備について
2)デジタルデバイドの解消について
3)その他


1)重層的支援体制の整備について

 無所属の近藤さえ子です。
まず、重層的支援体制の整備について伺います。
重層的な支援が必要な家庭には様々なケースがありますが、今回は、いわゆる8050問題、80代の親が50代のひきこもりの子どもを抱える問題に対して、区はどのように取り組んでいるのか、または今後どのように取り組むのかを質問させていただきます。
一般に8050問題と言われますが、現実には9060問題、7040問題等、どの世代にも厳しい状況が見られます。少子高齢化で子どもの人数は減っているものの、親と未婚の子だけという家庭は増え続けています。
厚生労働省の2019年国民生活基礎調査の概況によると、65歳以上の者のいる家庭は2,558万4,000世帯、全世帯の49.4%。世帯構造を見ると、夫婦のみの世帯が827万世帯、65歳以上の者のいる世帯の32.3%で最多、単独世帯が736万9,000世帯、同28.8%、親と未婚の子のみの世帯が511万8,000世帯、同20%となっています。親と未婚の子のみの世帯は、調査を開始した1986年に11.1%だったのが、30年後の現在では20.7%と倍近くに膨れ上がっています。
高齢化する自身の生活に対する不安から、親の世代は早期の支援を望んでいます。今年度から、社会福祉協議会と連携してひきこもり対策を本格実施したといいますが、現在の状況を教えてください。
先日、8050問題を抱えていた御家庭の60代のお子さんが亡くなりました。高齢のお母様は御近所の方とは交流がありましたが、同居中のお子さんのことはほとんど知られていませんでした。お母様から御自身の生活上の相談を持ちかけられた近所の方は、すこやか福祉センターに相談したり地域で話しながら高齢の彼女を見守ってきました。介護保険の訪問介護のヘルパーさんも入り、近所の協力もあり、二人の生活は成り立っていました。
しかし、しばらくお母様を見かけなくなり、近所の方も分からず、離れて暮らす家族に事情を聞くと、お母様は入院され、一人になったお子さんは亡くなってしまったということです。
確かに高齢の母親にはヘルパーさんがついて日々生活は何とか回っていました。しかし、母親が入院し医療の対象となり、介護事業所のヘルパーさんが家に来なくなった段階で、ひきこもりであった子どもは一人置き去りにされてしまったのです。高齢の母親を見守ってきた地域の人たちは、まだ自分たちと同じか、むしろ若い方が亡くなってしまった悲しい結果に大変心を痛めています。私自身もお二人を助けてあげられなかったことが残念でなりません。
このケースの場合、親子だけで暮らしていて、長い間自宅に引き籠もっていた人を一人にしてしまうことは実に危険なことです。ましてや、地域の方はすこやか福祉センターにこの御家庭のことも相談されているのです。このような重層的な支援が必要な家庭について、区は、令和3年度に重層的支援体制整備事業として本格実施に向けて準備をし、今年度から本格実施してきたと思いますが、なぜ支援の手は届かなかったのでしょうか。
介護事業所とすこやか福祉センターが連携し、残された方の支援に速やかに入るべきだったと思いますが、おそらくその連携は取れていなかったのだと思います。重層的支援、他機関連携と言葉では言いますが、速やかな連携が取れる体制は築かれていなかったと感じます。
重層的な支援体制で最も大切なことは、支援が必要な家庭を中心に、関係部署、地域の方が顔の見える関係を築くことです。
先日、犯罪被害者当事者、自治体職員、福祉の専門家、介護職員、保健師、マスコミなどの支援者たちで、例えば家族の中で誰かが交通事故に遭ったときなどの事例を幾つも挙げ、様々なケースを想定し、事故で入院したのが父親、母親、子どもなど家族の誰であるかにより、それぞれどのような支援が必要なのか、この家族のキーパーソンは誰になるのか、キーパーソンが家族にいない場合は誰に連絡を取ればよいのかというケース会議を行いました。
私は、このようなケース会議を度々経験し、被害者家族を支援することを学んでいますので、多くの自治体、警察、法務省などの職員研修に呼ばれても支援の仕方を語ることができます。区でも、重層的な支援が必要な家族それぞれのケースが違っても、多くの事例から適切な対応を学び、関係機関がつながり、すぐに支援に入れるような体制をつくっておくべきだと思いますが、いかがでしょうか。
ひきこもり状態の方がこれまで頼ってきた親と離れる事態になってしまってすぐに、母親の入院からわずかな期間で亡くなってしまうとは思わなかったというのでは、ひきこもり対策への不勉強としか言いようがありません。ひきこもりの方が少しでも早い段階で社会とつながりを築けるようなひきこもり対策も重ねてお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

2)デジタルデバイドの解消について

次に、デジタルデバイドの解消について伺います。
区では、スマートフォン・タブレット相談会、初心者向けタブレット講習会等を開催し、高齢者のデジタルデバイド対策を行っています。
私も、区役所で開かれたスマートフォンの相談会に参加させていただきましたが、大変好評のようで、1時間待ってようやく相談を受けることができました。その待ち時間に相談されている方の様子を拝見していますと、そのレベルに差があるように見えました。また、待っている人同士で話をしましたが、次のような声がありました。
御高齢の方をPCR検査にお連れしたが、その方はスマホを持たずに自分のアドレスがないため検査を受けることができなかった、新国立競技場の見学会に行くのにホームページから予約をしようとしたが、スマホがないため予約ができなかった、パソコンはあってもスマートフォンを持っていないので行きたいところに行けなかったなどでした。
高齢者の中でも格差があり、大変上手にモバイル機器を使いこなしている方もいれば、苦手で尻込みをしている方、全く興味のない方もいらっしゃいます。このような状況で高齢者のデジタルデバイドを解消するには、このような相談会を継続することも大切ですし、もっと細かい地域の単位で気軽に相談できるような環境をつくっていくことも必要であると考えます。いかがでしょうか。
また、行政が高齢者に対して積極的にデジタル化を進めるのであれば、消費者センターの横に高齢者が気軽に相談できる相談窓口を設置してほしいとの要望もありました。いかがでしょうか。高齢者の中でも格差があるデジタル機器への対応、何をゴールとして取り組んでいるのか、教えてください。
次に、仕事のデジタル化全般について伺います。
区は、庁舎の中でもデジタル化、ペーパーレス化を進めています。ワンナップチャレンジで優勝した総務部は、既にサンプラザ5.4個分のペーパーレス化に成功したとの報告もありました。
しかし、先日お会いした私立保育園園長会の方のお話では、以前より提出書類が増えて、これまでの非常勤職員では対応できないほどの手続書類があり、人件費の増額を求めていました。行政組織の中でも格差が大きくあると思います。
介護サービス事業所連絡会の方からも、書類の多さに疲弊する、紙を保管する量が増えている、他区では作成していない文書の提出もあるとのことでした。
どちらも日々子どもたちや高齢者の命と向き合う大切な仕事をされている団体からの切実な願いです。ぜひ事務負担の軽減に向けて取り組んでいただきたいと思いますが、保育園、介護サービス事業所などの事務手続のデジタル化、ペーパーレス化をどのように考え、事務の効率化を進めていくのでしょうか。事務の簡素化を進めて、子どもたち、高齢者などの利用者に向き合う時間の確保に努められるようにしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
これで私の全ての質問を終わります。ありがとうございます。

○区長(酒井直人) 近藤議員の御質問にお答えいたします。
私からは、まず最初に、デジタルデバイドの解消についてで、定期的な相談会の実施についてでございます。
今年度は、区が主催するスマートフォン・タブレット相談会のほかに、東京都と共催で実施するスマートフォン相談会を実施しておりまして、参加者から定期的な開催の希望を多く受けているところであります。今後、東京都と連携をし、区民の多くが利用しやすい区役所本庁舎などでの定期開催や、地域における相談会の開催回数の拡充などを検討してまいります。
次に、高齢者の不安を解消する事業の在り方についてでございます。
今年度、区が主催しているタブレット講習会や相談会におきましても、モバイル機器の購入時の注意点等契約トラブルに関する内容を盛り込んでおりまして、啓発や不安の解消に努めております。次年度以降の事業の開催場所につきましては、今年度の実績も踏まえてこれから検討してまいりますが、引き続き、事業の周知及び不安の解消に向けて手法を検討してまいります。
次に、高齢者のデジタル機器への対応についてでございます。
現在のデジタルデバイド対策事業は、一人でも多くの高齢者がオンラインで利便性の高いサービスを利用できるよう、モバイル機器への苦手意識や不安解消をゴールに取組を行っています。東京都と共催する事業の実施状況や、区が主催する事業における参加者や相談内容の傾向を注視するとともに、参加者からの意見、要望等を踏まえながら今後の事業の展開を検討してまいります。
次に、保育園の事務負担の軽減についての御質問です。
事務手続の効率化につきましては、保育園から要望いただいて順次手続の簡略化を行っているところでございます。今年度は補助金などの申請書類の押印を廃止し、メールで提出できるよう改善するとともに、提出書類の削減も行っておりまして、今後も保育園の事務負担の軽減に常に努めてまいります。
最後に、保育の質の向上についてでございます。
保育園に関する事務手続を簡素化して、保育士が保育に専念できる時間と心のゆとりを生み出すことで、さらに子どもたちに寄り添った温かい保育が行われると考えております。現在、私立保育園に対してオンラインを活用した保護者との連絡や登降園管理等に活用するICT機器の導入に係る補助、これを行っているところであります。今後もより一層保育園事務のICT化を進め、保育の質の向上に努めてまいります。

○地域包括ケア推進担当部長(藤井多希子) 私からは、重層的支援体制の整備についてまずお答えいたします。

 初めに、ひきこもり支援事業の現状についてです。
区では、令和4年度から中野区社会福祉協議会に委託し、ひきこもり相談窓口の設置、ひきこもり支援に対する情報発信、居場所づくり、家族会の支援等を行っております。
令和4年8月末現在、新規の相談件数は34件、対象となるひきこもり当事者の人数は23人となっております。相談の多くは家族の方からとなっておりまして、そのほかは地域包括支援センターなど関係機関からの相談となっております。
次に、速やかな支援のための連携についてです。
今回のケースにつきましては、以前からすこやか福祉センターに本人の家族から御相談があり、ケアマネジャーや地域包括支援センター、医師等と連携して支援が行われるよう進めていたところでございました。
ひきこもりの当事者やその家族に対する支援として、地域の関係機関等と連携し、発見から速やかに支援につなげ、見守ることができる重層的な支援体制を整えてまいります。
次に、ひきこもりの方の社会参加支援についてです。
これまでの相談ケースを見ると、ひきこもりの当事者にアプローチすること自体がとても難しく、長期化するケースが多くなっております。社会福祉協議会のほか、地域の関係機関が連携し、当事者へのアプローチを継続して行うとともに、それぞれの人に合った多様な居場所づくりや社会参加支援を行ってまいります。

 続きまして、デジタルデバイドの解消についての御質問のうち、介護サービス事業者との事務手続のデジタル化等についてお答えいたします。
事務手続のデジタル化につきましては、新庁舎移転に伴う紙ベースの削減という観点からも大変重要であると考えております。これまで区は事業者との情報共有のためのシステムの導入等を行ってまいりましたが、今後も、事業者の利便性の向上のため、電子申請の推進や事務の簡略化等に努めてまいります。
最後に、介護サービス事業者の事務の簡素化と質の向上についてです。
介護サービス事業者において、事務の簡素化を進めることは、介護職員の負担の軽減やサービスの向上につながります。事務の効率化により生じた時間を高齢者やその家族からの相談等に使うことができるよう、区としても事業者の負担軽減に努めてまいります。

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