私の議会報告

令和3年 第3回定例会 9月14日 一般質問

1,再犯防止の取り組みについて
2,中野区区有施設整備計画(案)について
(1)生活援護課事務室の配置について
(2)その他


20年前の2001年9月11日、アメリカ同時多発テロで犠牲になった全ての方に哀悼の意を表しまして質問に入ります。
1, 初めに再犯防止の取り組みについて伺います。
 中野区区民意識・実態調査等、区の施策に対する要望の上位には、毎年必ず防犯対策が入ります。これは誰もが安全で安心な暮らしができることが切なる願いであることを示し、警察や自治体等に防犯対策に取り組んでもらいたいという区民の強い要望であると思います。
 3月28日、なかのZERO小ホールにおいて、中野区再犯防止推進シンポジウムが開かれました。これは中野区再犯防止推進計画の策定を記念したシンポジウムで、感染症の影響で昨年開催の予定の行事が今年開かれたものです。登壇したパネリストから、刑務所を出所した人が生い立ちや薬物依存やアルコール依存等の問題を抱え、自立できずに犯罪に利用されてしまう事例等を想定し、社会全体で加害者の更生を支えていかなければならないと更生保護として大切な話がありました。特に印象的だったのは、司会を務めた中野区の担当課長とパネルディスカッションに参加された部長が説明された中野区の再犯防止推進計画の特徴として被害者の視点が入っているということでした。一言で犯罪者といっても様々な場面が想定されます。万引きを犯してしまった認知症等支援が必要な人にその罪を厳しく問い詰めたとしても理解できないケースなどもあります。薬物やアルコール依存症等の治療が必要な人には、医療や福祉につなげることが大事になってきます。加害者の更生を支える仕組みと被害者に対して遺憾を示す体制、その両方を考えていくことが社会にとって大事であることを発信された、内容の深い大変よいシンポジウムでした。中でも被害者の視点を発信されたことは大きく評価できました。被害者団体の方からも、「中野区は全国的にも先進的であると言われてきた被害者支援施策だけではなく、再犯防止の取組にも期待ができそうですね」とお褒めの言葉を頂きました。加害者の更生と保護は、一番身近な自治体が各ケースに対し適切な対応をするように取り組まなくてはならないと国から求められていますが、一概に、住居、仕事、医療、福祉の紹介を提供するだけでは立ち直ることが難しいことも多いと思います。それぞれのケースに寄り添い、対応することが大事と考えます。中野区では、薬物、アルコール依存症などが原因で犯罪をした人に対して再犯を防ぐためにどのように取り組もうとしているのでしょうか。
 また、認知症に起因して万引きを繰り返すような高齢者や病気や生きづらさを抱えているがために犯罪を繰り返す人に対してはどのような防止策があるのでしょうか。
 次に、数としてはそれほど多くありませんが、凶悪な犯罪、性犯罪、殺人事件を起こした加害者たちへの対応です。どんな犯罪者でも刑期を終えれば刑務所から出てきます。犯罪被害者たちは、国に対して刑の適正化や刑務所内での反省、贖罪の気持ちを育てる取組を要望してきましたが、全く反省しない加害者も私たちの社会に戻ってきます。もちろん全員ではありませんが、自身の犯罪に反省の気持ちなど持たない加害者は再犯を重ねる可能性が大きいと言われています。先月私が懇談した埼玉の保護観察官も「再犯防止を進めるに当たり一番重要なことは、被害者に対して悪いことをした、二度と犯罪を起こさないと加害者自身が思わなければ、どんなに皆で他のことを頑張っても再犯は防げない」と話されていました。退所した犯罪者に住宅を用意し、仕事を見つけて社会に迎え入れるだけでは再犯防止に結びつかないケースも多々あるのです。
 埼玉県や神奈川県等では、保護司等を対象に被害者の視点を取り入れた再犯防止研修をしていますが、東京都ではこの動きがなかなか見えてきません。中野区が東京都の先頭となり、再犯防止のとりでとも言える保護司などの更生保護に関わる人たちを対象にして、犯罪被害者の視点を取り入れた研修や普及啓発を行うことが大切であると考えますが、いかがでしょうか。
 大変困難な加害者の更生を、国は地域で支え合いましょうと、自治体、地域、住民に任せています。安全・安心な地域社会を築くために、その地域社会づくりや支援体制を国から任されている基礎的自治体である中野区の役割は大きいのです。犯罪や非行とともに再犯を防ぐ上で区が果たすべき役割をどのようにお考えなのでしょうか。
2.中野区区有施設整備計画(案)について
(1)生活援護課事務室の配置について
 他の議員からも質問がありましたけれど、私も中野区区有施設整備計画(案)について、その中の生活援護課事務室の配置について伺います。
 中野区区有施設整備計画(案)には、社会福祉会館・区役所新庁舎における生活援護機能の再編が示されています。その中で社会福祉協議会の本部機能は区役所新庁舎に入り、生活援護窓口は、生活保護受給者の増加に伴うケースワーカーの増員に対応するために社会福祉会館に設置すると示されています。整備計画(素案)の段階では、教育センター跡地に移転する予定となっていましたが、利用者のプライバシー保護の観点を重視して、複合施設である社会福祉会館と生活援護課を二つに分けて入れることに決めました。区有施設整備は、基本構想が描く10年後に目指すまちの姿を実現するために持続可能な区政運営が不可欠です。これを基本に施設の整備計画をつくられていると思います。区有施設の6割以上が建築後30年を経過して老朽化が進み、延べ床面積が1,000平米未満の小規模な施設が多く、約半数が単独施設であるという課題を認識し、今後は複合施設を造っていきたいと常に区民に発信している区が、区最大の複合施設となる新庁舎を建設するに当たって、なぜ生活援護課を全て入れることができなかったのか私は不思議でなりません。区は、区財政の見通しの厳しさを常に区民に示し、構造改革に取り組まなくてはならないと言いながら、警備面などに余計なコストが発生することを承知の上で生活援護課を新庁舎と社会福祉会館に二分して入れることを選択しました。新庁舎に生活援護課の全ての業務を入れたほうが利用者の利便性は明らかであるにもかかわらずです。なぜ庁舎を新しく建て替えるこの60年に一度の大きなチャンスに、区の施設の管理、ランニングコストを抑えていくという視点を持たなかったのでしょうか。また、ランニングコスト面は試算していないということですが、ランニングコストの計算さえもせずに施設の整備計画をつくっているのでしたら大きな問題ではないでしょうか。ランニングコストを度外視してまで生活援護課を区役所新庁舎と社会福祉会館と2か所に配置することで区役所新庁舎に全てを配置するよりも、生活援護課を2か所に分けるとした計画とした理由、どれだけのメリットがあるのか御説明ください。
 現段階で新庁舎に生活援護課を全て入れるスペースがどうしても確保されないのであれば、現金を扱わない部署、区民が頻繁に利用しない部署、他部署との連携が少ない部署を新庁舎外に出すべきと思いますが、いかがでしょうか。
 社会福祉協議会や町会連合会等、民間組織を区役所新庁舎に入れる前に、区本来の業務の部署を優先的に新庁舎に入れるべきと思いますが、いかがでしょうか。課を二分され、別々の場所に配属されてしまう生活援護課の職員はどれだけ働きづらいことでしょう。生活援護課を二分して区役所新庁舎と社会福祉会館に入れるのは、今後長い年月にわたるランニングコストの点からも、利用者の利便性の点からも、職員の働きやすさの点からも、教育センター跡地に生活援護課を配置していた以前の素案の段階より悪くなってしまったと私は思います。再度検討をお願いいたします。
(2)その他
 区有施設整備計画(案)その他で1点伺います。
 2030年まで区有施設整備計画(案)には、区民が環境問題を考え、自主的に取り組んでいけるような環境館等の施設の整備は計画されていません。区有施設整備計画(案)では、今後10年間、現在と同じ、清掃事務所と古着を保管するリサイクル展示室があるだけです。私は、これまで何度もリサイクル展示室の有効活用を求めてきました。日本全体でも、世界的にも、地球温暖化防止対策と環境問題は生活者皆で取り組まなくてはならない喫緊の課題です。私はこれまでも他区の環境施設や地球温暖化防止への取組などを紹介してきましたが、中野区には区民が集まり、環境問題を考え、積極的に取り組む場所、施設が一つもありません。さらに、10年後まで何も計画されていないのです。区は環境問題を区民とともに取り組もうという意識が低過ぎます。1968年建設の清掃事務所と1990年築で比較的新しい、交通の利便性もよいにもかかわらず、ただの古着置場になってしまっているリサイクル展示室を複合施設として全体をリニューアルし、新たな環境施設として整備する計画をされてはいかがでしょうか。
 区は長年、環境団体は区民活動センターを使えばいいと言ってきたので、環境団体や環境問題に興味のある方が集える場所は区民活動センターしかありませんでした。区役所の他部署を訪れる区民と比較しても環境課を訪れる区民は多くなかったと思います。区民の利用が多い生活援護課を二分してまで庁外に出すのであれば、区民との金銭のやり取りのない、区民が頻繁に区役所に往来することもない環境課などの部署を社会福祉会館に整備するなどして、新庁舎を頻繁に利用する区民にとって使い勝手のよい施設として新庁舎を整備することが大切であると思います。
 以上で私の質問を終わります。ありがとうございます。

○区長(酒井直人) 近藤議員の御質問のうち、私からは、中野区区有施設整備計画(案)についての御質問にお答えいたします。
生活保護受給者は今後も増加していくと見込んでおりまして、それに応じたケースワーカーの執務スペースを確保していくため、新庁舎のみならず社会福祉会館の活用も選択したものでございます。生活援護課以外の部署や外部団体の庁舎外配置についても、業務の性質や連携などの観点から検討は行いましたが、生活援護課の職員数が今後増加していくことにも鑑みて、結果として区有施設整備計画(案)の内容となったものでございます。2か所となっても円滑に相談支援が行われ、財政負担や職員負担が抑えられるよう実務上の運用の検討を現在しているところでございます。

○地域支えあい推進部長(角秀行) 私からは、再犯防止の取り組みについてお答えいたします。
薬物やアルコールへの依存により犯罪をした人の支援についてです。薬物やアルコールに起因して犯罪をした人の多くは依存症の疾患者でもあります。回復には継続的な治療や支援を受けることが必要です。こうしたことから、すこやか福祉センターなどで相談支援を行うに当たっては、検察庁保護施設や保護観察所などと連携を図りながら相談に応じるとともに、必要な医療や専門機関につなげるよう支援を行ってまいります。
次に、支援を必要とする課題を抱えた人への再犯防止の支援についてでございます。犯罪をした人たちの中には、様々な生きづらさを抱え、立ち直るのに多くの困難を抱えている人たちがいます。こうした人たちの立ち直りを支援し、再犯を防止するため、国や都道府県や区市町村、関係機関などと連携協力した取組を進めるとしてございます。区としてこうした取組を進める区の機関と連携協力しながら、必要に応じて専門機関につなぎ、地域の関係機関や関係者などとの連携協力体制の下、それぞれが抱えている課題や特性に応じた効果的かつ切れ目のない支援を行ってまいります。
次に、犯罪被害者の視点を取り入れた研修や普及啓発についてでございます。中野区再犯防止推進計画では、実現のための基本方針といたしまして、再犯を防止し、立ち直りを支援する取組について犯罪被害者の人としての尊厳への配慮と置かれている状況への理解を深めながら進めることを掲げてございます。今後、犯罪被害者支援の取組と連携を図りながら、犯罪被害者の視点を取り入れ、地域で更生保護に携わる人たちを対象といたしました研修や普及啓発を実施してまいります。
最後に、犯罪や非行、再犯の防止における区の役割についてでございます。中野区再犯防止推進計画では、生きづらさを抱えた人たちが孤立することなく必要な支援が受けられる地域づくりを進める地域包括ケアの取組の一環として、犯罪や非行の防止、犯罪をした人の立ち直る支援の取組を位置付けてございます。こうした取組について、更生保護や地域の見守り・支え合いなどの活動に携わる皆さんの理解を得ながら着実に進めていくことが区の役割と考えてございます。
○環境部長(朝井めぐみ) 私からは、環境に関する施設についての御質問にお答えいたします。
第4次中野区環境基本計画(案)の中で具体的な事業を定めたアクションプログラムでは、環境に関する地域団体などへの支援、交流、連携促進等を推進することとしております。今回の区有施設整備計画(案)では、環境に関する新たな施設整備は予定しておりませんが、産業振興センターと施設に整備する複合交流拠点の活用をはじめ、地域団体等のネットワーク支援について様々な効果的な取組を進めていきたいと考えております。

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