私の議会報告

平成30年第4回定例会 12月4日 一般質問

■平成30年第4回定例会 12月4日 一般質問

平成30年第4回定例会で近藤さえ子は以下の一般質問をしました。(12月4日)

 1、 保育需要の拡大に対応するための組織について
 2、 職員2000人体制を見直すことについて

 

〇近藤 まず保育需要の拡大に対応するための組織について伺います。
 区は待機児童ゼロを目指していますが、保育需要に保育施設の整備が追いついていかないのが現状です。また、待機児童緊急対策として、ことしから2年間限定で整備した区立保育室7施設はなぜか定員割れし、区民のニーズを把握できていない仕事の粗さも目立ちます。区は5年間で保育施設の定員を2,000人増やしてきましたが、共稼ぎ夫婦やひとり親など、保育施設を必要とする人が圧倒的に増えているのです。
 そんな中、子どもの入園を希望して活動中の親、待機児童になってしまった親からは、区に対する不満の声が聞こえてきます。例えば「保育園を何園も見学しましたが、どう見ても保育の必要性が高くはないお子さんが預けられているように見えます。一方、切実に保育を必要とするお子さんが保育園に入れないのはなぜでしょうか」、「保育園の落選通知が送られてきて、理由が理解できなかったので区に問い合わせをしたら、通知自体を送り返すように言われた。どういうことなのでしょうか。わかりません」など、疑問や失望の声が耳に入ってきます。
 皆に共通しているのは、待機児童の問題にしても、保育の質の問題にしても、もっと区民の現状や保育の現状を把握してもらいたいということです。この保育需要への対応に日々涙ぐましいほどの努力を区がされていることはわかりますが、その努力も保育需要の大幅な拡大の中で必死に子育てする保護者にはなかなか成果としては見えてきません。
 そこでお聞きします。この5年間で保育を必要とする子、いわゆる保育需要はどのぐらい増加しているのでしょうか。区は保育需要に対応すべく必死に対応している。一方、切実に保育を必要とする区民は区に対して大きな不満を持っている。この喫緊を要する保育問題に対応できていないことに関して、職員の不足という面はないでしょうか。
 中野区では、入園、在園、管外の園児の相談、入園申し込み、保育料に関することなど、約6,000人の園児の業務を10人の職員で担当しています。自治体によって体制、業務内容の分担などは違うので簡単に比較はできませんが、杉並区では保育入園等の相談担当職員は19人、1人で500人の園児担当です。中野区では杉並区より一人当たり100人ほど多い担当です。また、中野区は、この職員たちが私立幼稚園の保護者の支援、補助金等の保育料についても担当しています。練馬区では、保育園の入園相談業務だけで20人の職員がいるそうです。組織形態などが違うにしても、中野区が人員不足であることは明白です。保育園・幼稚園分野は庁内の中でも残業の多い部署です。定型事務は民間に委託していますが、個別の相談が増え、区の職員の負担は変わりません。複雑化する親の就労形態を把握し、真に保育が必要な人にサービスが行き届くような状況判断と丁寧な説明ができていないのではないかと危惧します。
 来年度からは幼児教育の無償化も始まる予定です。集団生活が可能であっても、医療を伴う子どもたちへの保育園での対応等の喫緊の課題も抱えています。さらに、今後増えていくと思われる外国人の子どもたちへの対応はどうするのでしょうか。また、LGBTの方など、ますます多様な生き方をされている方の対応等も今後出てくることになるかもしれません。来年度は更に7,000人近い保育定員に対応していかなくてはならないと伺いました。今の職員対応では、新たに1,000人近い園児への対応は無理であると考えます。現在の他区と比べても半分以下の人員で区民の相談に追われる体制では、組織の体制を変えたり、仕事の改善に向けた取り組みをする余裕はないと思います。区長の掲げられる政策、「子育て先進区」、「待機児童ゼロ」、「保育の質の向上」を目指すには、しっかりとした職員体制、土台が必要です。保育を必要とし、区に助けを求める区民に質の高い保育サービスを提供できるように早急に入園相談の体制強化を求めますが、いかがでしょうか。

 〇近藤 2番目に、2,000人体制の見直しについて伺います。
区は、平成20年、職員2,000人体制に向けた方策を定め、民間の活用と少数精鋭の職員体制の確立に取り組んできました。平成26年度には定数条例上の職員2,000人を実現し、成果を果たしてきました。しかし、人数縮小は達成できたとしても、医療職や福祉職が事務に追われる現状では、少数精鋭の職員体制とはほど遠いのではと私は申し上げてきました。2,000人体制になって、肝心の区民サービスは向上したのでしょうか。前の質問で保育園部門を取り上げましたが、多様化する区民ニーズ、少子高齢化社会への対応に現在の2,000人体制では区民サービスは向上するどころか、行き届かない状態になっているように私には思えます。
新区長が示された「中野区の新たな区政運営方針における基本的な考え方(案)について」では、区民参加の推進、区政情報の積極的な提供、職員が地域と関わる機会を増やしていくとともに、傾聴力、対話力の向上、職員提案制度の改善、自主研究活動の支援などがあります。区長は区民の声を聞き、区民サービスを向上させるために職員に力をつけたいとお考えのことだと思いますが、2,000人体制のもと、職員たちは病気になりそうな状態で働いている方も少なくないと感じます。職員の実態を最も御存知の区長は、区の疲弊状態を感じ、何とかしなくてはと御自身で区長になられました。現在、区長を務め、職員は生き生きと仕事をされているとお思いでしょうか。お伺いします。
前区長の進めてきた、少数精鋭と言いながら精鋭になれなかった2,000人体制に対して、事業の見直し、定型事務等の委託化、専門職がもっと専門性を発揮できるような環境づくり等を私は再三申し上げてきましたが、膨れ上がる区民ニーズに追われる部署がたくさんあるのではないかと思います。そのようなオーバーワークの部署では、ただただ日々の仕事をこなすのが精いっぱいで、区民と真に向き合うには、職員に余裕もなく、できないと思われます。区民と直接かかわる分野の人員の強化を要望して、私が度々質問をすると、必ず副参事たちは、大変なのはうちだけではないですからと返答されます。職員が個人的にぎりぎりの状態で仕事をしていたら、区民サービスの向上にはつながりません。多くの部署で人手不足ではあるが、2,000人体制のもと、その範囲でやっていくしかないと判断されているとしたら、区民にとってはサービスの低下を招いていると思いますが、いかがでしょうか。
区長は職員の疲弊を最も御存知なのですから、疲弊しない職員体制を構築するために職員の仕事の実情に耳を傾けるためのアンケート等を実施され、職員の仕事の状況を把握すべきと考えますが、いかがでしょうか。
平成30年3月に出された人事構想では、10年後の区役所・職員像に、アウトリーチサービス、良好な職場環境、業務の特性に応じた専門性、ワーク・ライフ・バランスの実現などを掲げています。しかし、区民の多様な要求に応え、サービスを向上させ、職員を良好な職場環境にして、ワーク・ライフ・バランスを保っていくには、現在の2,000人体制で大丈夫なのでしょうか。再度見直すべきではないでしょうか。
高齢者の福祉についても、専門職がもっと専門性を発揮できる職場をつくるべきだと再三私が申し上げたところ、担当副参事は、何でもこなすゼネラリストでもあるべきであるというお答えでした。区は職員をスペシャリストに育てたいのでしょうか、ゼネラリストに育てたいのでしょうか。どちらなのでしょうか。お答えください。
職員は少数になりましたが、精鋭であるとは思えません。今後ますます複雑化、多様化する区民のニーズに応えるために職員の人材育成を強化し、少数精鋭の体制を目指す、しかし、その定数を2,000人に固執する必要はないと考えます。いかがでしょうか。

○区長(酒井直人) 近藤議員の御質問にお答えいたします。
保育需要の拡大に対応するための組織について、まず5年間の保育需要の増加についてでございます。
保育需要については、4月1日時点の就学前人口に対して、保育施設を利用している児童と待機児童の合計人数が占める割合を保育需要率として算出しております。保育需要の増加については、平成26年度が就学前人口1万2,055人に対し、保育施設利用児童と待機児童の合計は4,718人で、需要率は39.1%、平成30年度は1万3,473人に対し6,080人で、保育需要率は45.1%でありました。5年間で保育需要率は6ポイント増えております。
次に、入園相談体制の強化についてでございます。保育園・幼稚園担当における職員体制については厳しい状況でございましたため、本年11月に職員の増員を図ったところでございます。今後も業務量の状況や業務改善等の工夫の状況も踏まえつつ、必要があれば体制強化も図ってまいります。
次に、職員2,000人体制について、現在の区職員の状況についての御質問でございます。内部管理事務等の事務改善の工夫や民間活用などの環境整備に努めてきたところではございますが、厳しい状況にあると認識をしております。その上で、今後も事務改善と事務処理の効率化など、工夫に努めていくとともに、職員一人ひとりが使命感を持って仕事へのやりがいや達成感、区民の皆さんから認めてもらえるような充実感を感じ、生き生きと仕事に取り組める職場づくりに取り組んでいるところでございます。
次に、職員2,000人体制の見直しについてでございます。これまで民間活用や事務改善等の工夫を行いながら、職員2,000人体制のもとで対応してきておりまして、厳しい状況であることは認識していますが、区民サービスの低下を招いているとは考えておりません。また、管理職はヒアリング等において適宜職員の状況を把握しているほか、職務意向申告シートにおいて職員の意見等を把握しております。職員アンケートを含めて、より一層職員の実情に耳を傾けていくなどの工夫を行ってまいります。
行政課題が複雑多様化するなど、区政を取り巻く環境は厳しさを増しておりまして、職員の人材育成は喫緊の課題であると認識しております。業務を通じた成長と自発的な自己研鑚を基本として、職員の能力開発を推進していくとともに、組織全体で人材育成に取り組む風土を醸成してまいります。
職員体制については、今後も民間活用や事業改善等を推進していく一方で、新たな行政需要等の業務量の増加も踏まえ、今後新たな定数計画策定に向けた検討を進めてまいります。その上で、職員2,000人体制を見直すかどうかについても検討してまいります。

 次に、福祉職の人材育成についての御質問でございました。福祉職については、多種多様な相談等に対応するための一定の総合性が必要となってまいります。そのため、庁内外の様々な職場に配置をし、定期的な職場のローテーションによって一定の経験を積み重ねているものでございます。その上で、福祉職としての経験を積み重ね、高齢者や子どもなどの相談支援等のスペシャリストを育成したいと考えております。そのために、福祉職が配属されている部署や職務内容、福祉職に期待される役割等の冊子を作成し、管理職とのヒアリングにおいて活用する予定となっております。これらの取り組みを通じて、様々な職場経験を積み重ね、多種多様な相談等に対応するための一定の総合性を持ったスペシャリストを育成していきたいと考えております。

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