私の議会報告

平成29年第3回定例会 9月13日 一般質問

■平成29年第3回定例会 9月13日 一般質問

平成29年第三回定例会で近藤さえ子は以下の一般質問をしました。(9月13日)

1 アウトリーチチームの役割について
2 その他


 アウトリーチチームの役割について質問いたします。
 区民が住みなれた地域で安心して暮らし続けるための仕組みとして、ことし3月、区は「中野区地域包括ケアシステム推進プラン」を作成しました。平成28年度から10年間の計画の地域包括ケアシステム推進プランのステップ1では、平成28年から30年度に喫緊の課題である高齢者の地域包括ケアシステムの構築を主として、ステップ2では、平成31年度からその対策を子育て世帯、障害者などを含む全世帯、全区民へ拡大していくとしています。このプランに即して、今年度から支援が必要な人を早期に発見し、適切な支援につなげるコーディネーターとして、区の職員、事務職2名、医療、福祉の専門家2名で構成されるアウトリーチチームがつくられ、活動が始まりました。このアウトリーチチームについてお尋ねします。
 区は、アウトリーチチームの主な活動を、支援が必要な人を見つけ出して、地域包括支援センターや支援団体につなげていくこと、地域で支援活動をしている団体を探すこと等を挙げ、アウトリーチチームの存在を区民にPRし、町会や他の団体などに顔を出す、地域の行事に参加する等で地域の団体との関係性を築こうとしています。
 しかし、これまでも支援が必要な高齢者については、町会、民生・児童委員や他の地域の方々も地域包括支援センターに情報を寄せてきました。今回、その情報をまずアウトリーチチームに知らせ、そこから地域包括支援センターにつなげる必要性はどこにあるのでしょうか。アウトリーチチームが地域から得た情報を地域包括支援センターにつなげる役割にどのような意味があるのでしょうか。何が変わったのでしょうか。
 アウトリーチチームが地域の団体のイベントに参加し、地域との関係性を築くということですが、この必要性が見出せません。そもそも6年前、地域センターが区民活動センターに移行した時点で、区民活動センターに残った区の職員は、地域住民とのパイプ役を任されました。区民活動センターの職員は、地域の団体との関係性は既に築いているはずであり、区民を支えるいかなる団体が地域にあるか等、区民活動センターの中で把握できているはずだったのではないでしょうか。
 今回新しくアウトリーチチームが地域団体のイベントやお祭りに出て情報収集や関係性を築かなければならないとすれば、今まで顔の見える関係性を築いてこられなかったということで、今さらイベントに出て関係性を築いているのはおかしいのではないでしょうか。地域センターから区民活動センターへ変換した目的が果たされていなかったのではないかと考えられますが、どのようにお考えでしょうか。
 8年後には、65歳以上の5人に1人、新オレンジプランでは4人に1人が認知症になると推定される中、私は喫緊の課題である認知症対策について、中野区は他区と比較して認知症支援コーディネーターや認知症地域支援推進員等が少な過ぎること、早期発見、早期治療の必要性などを申し上げ、保健師や福祉職などの専門職の増員を求めてきました。
 アウトリーチチームは、その専門性を高めるため、専任の保健師、社会福祉士を配置し、さらに社会福祉士の育成、15の地区での情報交換、研修体制を整え、職員のスキルアップを図る取り組みが必要と思われますが、いかがでしょうか。
 中野区で唯一の地域連携型認知症疾患医療センターは、中野区に新たにアウトリーチチームができたことで、自身で地域包括支援センターに連絡できない、家庭に閉じこもりがちで外に出られない区民に対して、専門性の高い医療職や福祉職の目で早期発見、相談、支援に結びつけるというきめ細やかな対応が始まると期待していました。しかし、中野区のアウトリーチチームは、地域のイベントに参加することで交流を図り、情報を得る段階どまりで、これまでと何も変わっていないと危惧しています。
 そもそもアウトリーチ活動は、「手を差し伸べる」という意味で、精神疾患、鬱、引きこもり等、表にあらわれない支援を必要とする人々を精神科や子ども医療に結びつける役割を持ってスタートしたもので、素早い対応を求められる施策です。それゆえ、医療関係者も、今回の区のアウトリーチチームの活動の遅々として進まぬ展開に疑問を抱いています。
 地域連携型認知症疾患医療センターでは、他区の医療疾患センターとの会議が定期的に開かれ、情報を共有し、支援が必要な高齢者の問題を検討しています。中野区も15カ所のアウトリーチチームが全体で検討を行い、課題を共有し、専門性を高めていただきたいと思います。
 また、今回の中野区地域包括ケアシステム推進プラン、ステップ1(平成28年~30年度)は主に高齢者の支援体制の構築を目指していますが、15カ所の区民活動センターに配置された4人のアウトリーチチームの1人は児童館の館長ですが、児童館長がアウトリーチチームのメンバーとなった理由をお聞かせください。
 児童館は、乳幼児からお年寄りまで、地域のさまざまな人々が集まる場所ですので、地域の情報が多く集まります。区民活動センターではできなかった区民の情報を把握できる場所として児童館は最適な場所です。地域包括ケアシステム推進プランのステップ2、ステップ3、ステップ4と本格的に子どもたちを対象としていく今後は、これまでの児童館の通常機能である支援が必要な子どもたちを見出し、適切な機関につないでいく役割がさらに必要になっていきます。
 しかし、区は、全児童館を廃止する方針であり、地域から児童館長がいなくなり、これまで児童館が担ってきた子どもたちをめぐる地域とのコーディネーター機能は消えてしまいます。アウトリーチチームの情報収集ではカバーすることができないのではないかと危惧されます。今後、全児童館が廃止されてしまえば、中野区のどこにも区の職員が見守る子どもたちの施設はなくなってしまうことになりますが、情報収集や地域との連携は現在より低下してしまうのではありませんか。どのようにお考えでしょうか。
 少数精鋭の2,000人体制のもと、認知症対策の医療職の人材が他区と比べても少ない中野区で、地区担当のアウトリーチチームは大変重要な役割を担っていくことになります。迫り来る超高齢化社会に向けて、最大限有効的なアウトリーチチームの整備をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 この夏、私の父は、区外の有料老人ホームのショートステイを利用しました。また、私は毎週病院の通院につき添いました。多い週は週3回病院に行きました。その場所、場所で70代、80代、90代の御主人を介護する奥様たちから悲鳴のような声をたくさん聞きました。「介護が大変ならショートステイを使ってくださいと簡単におっしゃる方もいらっしゃいますが、たくさんの書類を書いたり、支度をしたり、熱が出れば呼び出され、私のほうが疲れてぐあいが悪くなってしまいました。短期の利用は結局慌ただしいですね」「病院には通っていますが、薬が合わないみたいです。先生には言うのですが、これでいいというので、今さら病院を変えて連れていく元気は私にはありません」「地域の方がいろいろな息抜きの場所にお誘いくださるのですが、主人を家に残してはいけませんし、主人を連れていくのはもっと無理です」、そして、疲れ果てた誰もが共通しておっしゃることは、「もう在宅での介護は無理なのかしら」ということです。たとえ介護保険や医療、地域の方とつながっていても、支援を必要としている方はたくさんいらっしゃいます。こんな疲れ果てた状況でも、医療の知識がある、またはさまざまなケースを理解しているアウトリーチチームの職員が気軽に家庭を訪れ、さまざまな助言をしてくれる体制になっていけば、外出が困難な高齢者にとってはとてもありがたく、もう少し頑張れるかもしれません。今年度から始まったアウトリーチチームの実効性のある高齢者支援に期待して、私の質問は終わります。その他はございません。
 ○区長(田中大輔) 
 アウトリーチチームの役割について。今回のアウトリーチチームの配置は、単身高齢者の増加をはじめ、社会の変化による多様化、複合化したニーズへの対応や、従来の申請主義による窓口対応だけでは見落とされがちな人への直接的、積極的な働きかけを可能とするものであります。これまでの町会や民生委員による情報提供とともに、行政情報などを踏まえた多職種による迅速で多面的な対応により、見落とされがちだった要支援者の発見等ができるものと考えております。町会や民生委員の方などが地域包括支援センターにケースをつなげる、こういった活動は、これまでどおりやっていただければ結構だと思っています。
 区民活動センター職員は、これまでも地域のネットワークづくりについて役割を果たしてまいりました。また、地域での実態調査などを踏まえて実情把握に努め、必要な支援を届けるような役割を果たしてまいりました。今回はこうした役割を踏まえ、支援が必要な方の発見など、地域包括ケアを進める新たな観点から役割を再定義したものであります。これまで以上に密接な関係、連携が必要であるため、地域のイベント等には積極的に参加することなども行ってまいります。
 アウトリーチチームの研修体制について。保健師や社会福祉士等の専門職については、それぞれの専門領域に関する研修への積極的受講を推奨しているほか、国や都の生活支援コーディネーター研修についても受講させているところです。また、区民活動センター単位やすこやか福祉センター単位でのチーム員会議、全担当職員を対象とした研修会等により、情報の共有とスキルアップを図る体制としているところです。
 アウトリーチチームに児童館長が入っていることについて。中野区の地域包括ケアシステムは、高齢者、子育て世帯、障害者など、地域の全ての人を対象としていますが、ステップ1においては、主に高齢者を対象とし、段階的に取り組むこととしております。その中で、アウトリーチチームの活動については、地域の高齢者だけでなく、全ての人を対象に要支援者の発見などを行うものであります。児童館長は、地域の子育て世帯の現状をよく把握しており、今後の地域包括ケアシステムの取り組みを広げていく上でも重要な役割があるものと考えております。
 子ども情報の収集についてであります。これまではキッズ・プラザへの移行後も、引き続き区の職員がキッズ・プラザと区立学童クラブの所長としての職務を担っており、子どもの状況や地域の子育て支援環境等について、実情を把握してきているところであります。
 今後は、アウトリーチチームとして配置している地区担当職員、福祉職を含んでおりますが、これが地域の子どもと子育て世帯の状況を的確に把握し、必要となる支援やサービスの利用につなげるとともに、民生・児童委員や次世代育成委員、育成活動団体等と協力し、地域課題の発見と解決に当たっていく考えであります。
 最大限有効なアウトリーチチームの整備をということであります。アウトリーチチームについては、多職種の専門的知識を生かしたチーム編成により、地域包括ケアシステムの実現に向けて、より効果的な取り組みとなるよう、強化、改善を重ねていきたいと考えております。

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