私の議会報告

平成29年第2回定例会 6月15日 反対討論

■平成29年第2回定例会 6月15日 反対討論

中野区立児童館条例の一部を改正する条例に反対討論をしました。(6月15日)


○近藤さえ子 第42号議案、中野区立児童館条例の一部を改正する条例に反対する立場で討論を行います。
 この条例の改正は、U18プラザ上高田及びU18プラザ中央を廃止するものです。中野区では、1966年から1小学校区に1児童館を目標に児童館を開設してきました。児童館は、児童福祉法第40条に定められた「児童に健全な遊びを与え、健康を増進し、情繰を豊かにする」ことを目標につくられた施設です。平成8年、中野区地域センター部、女性・青少年課発行の児童館の案内には、児童館の役割が次のように記されています。当時の基本構想である「地域社会の中で育つ子どもたちが、自由に伸び伸びと個性を生かして能力を伸ばす」ことを目標とし、「地域における活動の拠点になるように努めるとともに、子どもたちが健やかに育つ地域づくりのために、地域の父母、ボランティアをはじめ、学校、保健所、青少年育成地区委員会など、関係諸機関、団体との連携を進めます」。その目標どおり、児童館はこれまで児童に健全な遊びを与え、子どもたちを支える地域の人たちと児童の交流拠点として愛され、中野区の誇るべき施設として展開されてきました。
 しかし、2005年、区が中野区次世代育成支援行動計画(前期計画)において、児童館の機能転換を発表して以降、小学生の居場所を小学校の中とし、児童館には中高生館を整備する方針が打ち出され、毎年少しずつ計画が示され、小学生は学校内のキッズ・プラザ、9館の児童館を中高生までの居場所とすることが決定しました。そもそも児童館は小学生までの児童のための施設としてつくられ、中高生対応にはかなり無理がありました。しかし、区は、保護者や地域区民の危惧や反対を押してまで、九つの児童館のU18プラザ館への移行を進めてきました。その移行に職員は大変な苦労があり、地域の区民たちも、高校生らと知恵を絞り、10年以上にわたる努力により、U18プラザ館、またU18プラザ事業が進められてきたのです。そのかいがあって、U18プラザ上高田、U18プラザ中央は、中高生も頻繁に足を運ぶ施設になりました。しかし、今回、区は、昨年の平成28年1月、10か年計画(第3次)素案から改定素案までわずか3カ月の間に、U18プラザの廃止を決めました。U18プラザを廃止するということは、学校外に小学生、中学生、高校生が自由に出入りできる場所、施設が中野区から一つもなくなってしまうということを意味します。
 反対理由の第1は、児童館とU18プラザは、子どもたちの育成にとってかけがえのない場所であるということです。児童館やU18プラザは、職員の一人ひとりが乳幼児から小中高生、保護者、地域の大人まで親しくつき合ってきました。子どもたちにとって児童館の職員は、自分を理解して、何でも話せる兄貴や姉貴であり、児童館やU18プラザは、まさに学校、地域、家庭を結束してくれる存在なのです。不登校になっても児童館には顔を出す児童、私立の学校に通っても幼なじみと過ごす児童は大勢います。児童館及びU18プラザを廃止してしまうということは、学校や家庭に居場所のない子どもの唯一の居場所を奪うことにもなるのです。中野区に生まれ育ち、これから地域を担う大人として成長していく子どもたちから地域を奪うことになるのです。
 ある青年が、U18プラザの職員に相談に来ました。友人A君がブラック企業に就職して困っているがどうしたらいいか。U18プラザに来れば、何でも気軽に相談できる。子どものころから自分たちを応援してくれる大人がいる。それが児童館であり、U18プラザなのです。区は、相談だったら各種相談窓口に行けばいいと言います。でも、赤の他人の大人のところに相談に行ける若者がいるでしょうか。区が今始めようとしている事業、中高生活動発信応援事業は、子どもたちが集い練習する場所や機会を取り上げておいて、発表だけ応援するという矛盾した施策です。発表するものを持つ子どもよりは、まずは、学校にも家庭にも居場所のない子どもを支援することが、自治体のすべき子どもへの第一の施策のはずです。習い事からも発表からも縁遠い、家ではひとりぼっち、そんな子どもたちが頑張らなくてもいい、ただ行って遊ぶ場所、そして「あしたも来いよ」と、自分を待っていてくれる人がいる場所、そんな場所が子どもたちには必要なのです。職員には、複雑な家庭の悩み、虐待の疑い、子どもたちが抱えている問題がよく見えるのです。不登校やいじめへの対応、虐待など深刻な児童問題の早期発見の場としても、今後も必要な場所なのです。なくしてはいけません。
 反対の第2の理由は、U18プラザは地域の拠点だからです。U18プラザ中央で毎年行われている小学生対象のサマースティは、U18プラザ中央でのデイキャンプの後、お伊勢の宮の神社でテントを張って泊まる、子どもたちが大好きな行事です。町会、ボランティア、PTAなどが実行委員会をつくって行っています。U18プラザを拠点にして、区民の自主的地域イベントが成り立っているのです。U18プラザがなくなれば、これまで住民たちが行ってきた歴史あるイベントもできなくなってしまうのではないかと、町会や保護者は危惧しています。地域と子どもたちをつなぐ居場所が必要なのです。U18プラザ中央には、TAC、保善寺、宝仙、名愛等の幼稚園の親子が集まっています。U18プラザ上高田には、まこと、徳育、保善寺、上の原、東中野、これらの幼稚園児と保護者たちにとって大切な居場所になっています。電車やタクシーに乗って、中野の別の地域からも親子が集まってきます。この母親たちが、自分の子育てのときを支えてくれたことに感謝して、次のPTAや地区委員会のメンバーになり、地域を盛り上げ、地域に恩返しをしてくれる循環ができて「地域で子育て」が続いていきます。若い母親たちが、楽しいときも、大変なときも、誰かに支えられて子育てができる環境を奪ってしまえば、「地域で子育て」は消滅してしまいます。民設民営の認可保育園と子育てひろばを誘致するだけでは、今のように伸び伸び自由に親子で遊ぶことはできなくなってしまうと保護者は危惧しています。誰もが気兼ねなく使えた地域の財産が、限られた子どもたちしか使えない施設になってしまうことを心配しているのです。
 第3に、U18プラザ2施設の廃止に反対の理由として、区民の財産である区の施設を壊さないでほしいということです。U18プラザ上高田もU18プラザ中央もまだまだ使える施設です。区が中高生のためのU18プラザをつくれと言ったので、中高生が職員と力を合わせてU18プラザ上高田の壁画を描きました。皆で頑張って、自分たちの居場所をつくったのです。1989年建設のU18プラザ上高田は、平成27年に防水改修工事で2,000万円、昨年、28年度には空調工事で1,500万円をかけました。U18プラザ中央は、1991年建設、まだまだ使える施設です。区民の施設をそんなに簡単に壊さないでいただきたい。まだまだ使える施設、多くの区民が必要だと言う施設を突然壊してしまう。ひど過ぎます。区の施設は、幹部職員や区長の所有物ではないのです。大切な区民の財産なのです。どうかいま一度、子どもたちが伸び伸び過ごせる地域の拠点が、子どもたちの成長過程においてどんなに大切なものであるかお考えいただき、U18プラザ上高田、U18プラザ中央の廃止を思いとどまっていただきたいと思います。
 10か年計画の素案から改定素案までの3カ月での計画の変更は、余りにも計画性のない、余りにも無責任な子育て施策と避難されても仕方がないものです。近隣区を見渡しても、児童館は縮小する方向性は同じにしても、学校以外に異世代の子どもたちと地域の人がいつでも自由に使える場所の確保ができています。なぜ、中野区だけできないのでしょうか。児童館及びU18プラザの廃止により、これまで中野区が誇りにしてきた「地域で子育て」が消滅してしまえば、元気な子育て世代は中野区から出ていってしまいます。同僚議員の皆様、ぜひ御賛同いただきますようにお願いいたします。
 これで私の反対討論といたします。御清聴ありがとうございました。

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